Money Forward Developers Blog

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スクラムフェス福岡2026 参加レポート

まえがき

ス……ス……スラマッパギー!
クラウド経費本部 プロダクト開発部 Guardianグループでリーダーをやりつつ、福岡TechPR(技術広報)でよろずやをやっている、@tosite(てっしー)と申します。

2026年3月6日〜7日の2日間にわたって開催された スクラムフェス福岡2026 に、マネーフォワードから総勢7名のメンバーが参加してきました!
スクラムフェス福岡とは、アジャイルやスクラムに関する知見を共有し合う、地域コミュニティ主導のカンファレンスです。

今回は、参加メンバーそれぞれが気になったセッションとその感想を寄稿してくれましたので、その声をお届けします。
また、弊社からの登壇もありましたので、登壇者本人からのコメントもあわせてご紹介いたします。

Scrum Fest Fukuoka 2026のスポンサーバナー。



はじめに

改めて、今回は「スクラムフェス福岡2026」の参加レポートをお届けします。

www.scrumfestfukuoka.org

スクラムフェスは全国各地で開催されているカンファレンスで、スクラムやアジャイルの実践知が一堂に会するイベントです。
福岡での開催ということもあり、地元・福岡開発拠点のメンバーにとってはまさにホームでの開催でした!参加しない手はありませんね!

今回はスクラムマスターやQAメンバー、エンジニアなど、さまざまな役割のメンバーが参加しました。
「自分たちのスクラムは本当にうまく回っているのか」「他社はどんな工夫をしているのか」……それぞれの立場から、そんな問いを胸に参加してきました。

それでは、弊社からの登壇紹介と、各メンバーのレポートをどうぞ!

Day1(3月6日)

こちらのレポートは私ことてっしーが担当させていただきます。

confengine.com

スクフェス福岡2026のDay1キーノートは、柴山校長先生による「組織は変わらない、という空気はどこからくるのか」というテーマでした。
30歳で赴任した福岡女子商業高校は定員割れが続く状況だったとのことです。
ですが、生徒たちの投票で生まれた言葉「挑戦を、楽しめ。」を掲げ、「何のためにこの学校があるのか」を問い直し小さな挑戦を歓迎する文化を作ることで、学校の空気を変えていったとのことでした。

ここから得た学びのひとつが、組織を変えるのは制度ではなく文化である、ということです。
「挑戦してもいい」という空気があるかどうか。それだけで、人の行動は大きく変わります。

そして、このセッションを聴きながら、もうひとつ考えさせられたことがありました。それは「自由と責任」の話です。
セッションの中で印象的だったのが、「我慢メンタリティ」と「自由の相互承認」という言葉です。
我慢メンタリティとは、やりたくもないことを頑張ってやる姿勢のことです。
そしてその対義語として語られたのが、自由を互いに認め合う「自由の相互承認」という考え方で、今後の教育の世界では「自由の相互承認」を推し進めることこそが肝要と言われていました。

なるほど、と思ったものですが、私は「自由を掴むためには、時に我慢しなければならない局面がある」と思っております。
一見矛盾しているようですが、本当の自由を手に入れるためにはまず不自由を乗り越えるべきだと思っています。
我慢メンタリティを捨てることと楽をすることは別の話で、自由を選ぶにはその選択に責任を持つことが大前提です。
自由の相互承認がただの傷の舐め合いにならないよう、自分の選択に責任を持ちながら挑み続けられるよう、自分自身を律していく必要があるなと改めて考えさせられました。

そして、それがまさに主体性の話にもつながると思いました。
主体性とは「言われたことをちゃんとやること」ではなく、「やるかどうかすら自分で決めること」。
問題提起に留まらず、変革について議論するテーブルに自分の責任を持って立てるかどうか、それが問われるのだと思いました。

結局のところ、どんな風向きであっても、どんな天候であっても、舟は自分で漕ぐしかありません。
ですが、例えば筋肉痛のとき、例えば天候が悪いとき、例えば風が強いとき、そんな時に「できない自分」を認めて、でも折れないように無理なく頑張る、というのも大事なのだなと思いました。
自分の外側のことは変えられないので、「なせばなる、なんとかなる、なんともならない」、そんな気持ちを持ちつつ自分の生き方に胸を張ろうと思えるような、勇気をもらえるお話でした。

セッション全体を通じて、これは学校の話ではなく、イケイケの、しかも超うまくいっているスタートアップの話を聞いている感覚に陥りました。
スピード感、目的への真剣さ、小さな挑戦を積み重ねてカルチャーを変えていく姿勢……そのどれをとっても、最高にアツい組織の話そのものでした。
こんなに面白い校長先生の話は聞いたことがない(もちろん褒め言葉です)!

Day2(3月7日)

弊社からの登壇

スクラムフェス福岡2026では、マネーフォワードからも登壇がありました。
まずはそちらから紹介させてください。

スポンサー登壇 / tosite: あの日諦めたスクラムの答えを僕達はまだ探している。〜守ることと、諦めることと、それでも前に進むチームの話〜

登壇者の手島さんがマイクを持って喋っている写真。

私ことてっしーがスポンサーセッション枠で登壇させていただきました。

AI時代が本格的に到来した今、私たちのチームが何を考え、どう立ち向かっているのかをお話しさせていただきました。

AIの進化によって開発のスピードは上がりましたが、その裏では人間の認知負荷が急激に膨らんでいます。
このまま進めば、いずれ人間がボトルネックになる未来が来るのは間違いありません。
だからこそ、今までのスクラムのやり方に固執するのではなく、スクラムのあり方そのものを見直す必要があると考えています。

私たちGuardianは、プロダクトの「安全弁」として信頼性を守る活動をしています。
AIがどれだけコードを書いてくれても、プロダクトの信頼性を担保するのは最終的に人間の判断であり、その重要性はAI時代においてむしろ増していくはずです。

この発表で伝えたかったのは、信頼性活動の価値はこれからもっと高まるということです。
そして、その未来に向けて「守ること」「諦めること」「それでも前に進むこと」のバランスを取りながら、いい感じに戦っていこうということをお伝えしました。
答えはまだ見つかっていませんが、探し続けること自体がきっと答えに近づく道だと信じています!

Ashley / Scrumは歪む ──成長するBtoB SaaSで、原理原則を組織設計に持ち込んだ話

登壇者の蘆原さんがマイクを持って喋っている写真。

confengine.com

幸運にもプロポーザルが採用されたため、「Scrumは歪む」というテーマで話をさせていただきました。

今回の発表で扱ったのは、BtoB SaaSが成長していく中で起きるScrumの歪みです。
プロダクトが小さい頃は、シンプルなScrumチームでうまく回ります。

しかし成長していくと、以下のように環境が大きく変わります。

  • 顧客が増え、問い合わせが増える
  • チームが増える
  • 競争が激しくなる

その中で、新機能開発、問い合わせ対応、技術負債の解消といった異なる性質の仕事が並行して発生するようになります。
この状況で最初と同じ構造のままScrumを回し続けようとすると、少しずつ歪みが出てきます。

でもそれは、Scrumが壊れているというより、環境が変わったことへのサインなのかもしれません。
その歪みに対して組織の形を変えながら観察し、検査し、適応していくこと。
それが、Scrumで効果的に価値を届け続けるために大事なことなんだろうな〜・・・という、道半ばの私がモヤモヤ感を持ちながらの発表でした。

セッション後に数名の方から「同じ悩みがあります」、「まさにこれから変えようとしていたところで、参考になりました!」といった声をかけていただきました。

自分たちの現場の悩みが、実は多くのチームで共通していることを実感して、今後の自分にとっても励みになりました。

登壇の機会をいただいた運営の皆さん、そしてセッションを聞いてくださった皆さんに感謝しています。
ありがとうございました。

参加者レポート

参加したメンバーそれぞれが、気になったセッションをピックアップして紹介します。

今いい感じのチーム構成と営み2025冬 〜Scrumっぽいけどチョット違う形〜

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クラウド債務支払開発チームのスクラムマスター、Noripiです。 私たちのチームはここ数年で、多様なバックグラウンドを持つグローバルな仲間が急増し、1チームから3チーム体制へと大きく成長しました。組織が拡大する中で「今の自分たちのスクラムをより良くするためのヒント」を見つけるため、Scrum Fest Fukuoka 2026に参加してきました!

一番の衝撃は、セッション「今いい感じのチーム構成と営み2025冬 〜Scrumっぽいけどチョット違う形〜」での一言。 「アウトプットを増やすことと、増やせる能力を獲得することは別物」という話にハッとさせられました。

「人数がいるから稼働させないと」という罠に陥らず、まずは不要なアウトプットを減らし、空いた時間をユーザーやプロダクトの勉強に充てる。このサイクルこそが、チームの地力を底上げすると痛感しました。

まさに「人数いるから稼働してもらわないと」に陥ってました。

また、「固定期間スプリントをやめた」という事例も目から鱗でした。 スプリントの固定は絶対のルールだと思い込んでいましたが、その「守らねばならない」という固定観念こそが、新しい変化を阻害していたのかもしれません。

今回の学びを活かし、形に囚われず「自分たちのチームに本当に必要な進化」を追求していこうと思います!

チームのモメンタムに投資せよ!不確実性と共存しながら勢いを生み出す3つの実践

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クラウド経費でQAをしているゆっきーです!

このセッションでは、PdM(Product Manager)の視点から、開発チームの「モメンタム(勢い)」をどう生み出し維持するかが、3つのケースを通じて語られていました。

特に印象に残ったのは、物理的な余白は確保していたが、チームがそれを受け止められる心理的な余白が足りなかった、という話でした。
セッションを聴きながら考えていたのは「これはPdMだけの話なのかな?」ということです。確かに、チームのモメンタムはPdMの意思決定から生まれることが多いと思います。でも、「QAの自分だったら何ができるだろう?」と考えたとき、思い浮かんだのが「安心感」でした。開発者が「どこまでテストすれば大丈夫か」と不安になったとき、「ここはちゃんと見ているから大丈夫」と伝えられること。バグが見つかっても「早く見つかってよかった」と言える関係を作っておくこと。チームに安心感を届けられるQAになりたいと思いました。
今回がスクラムフェス初参加でしたが、さまざまな角度から組織課題について聞けたこと、そしてその場にいるみんなとすぐに感想を共有できたことは、現地ならではの体験でした。

今いい感じのチーム構成と営み2025冬 〜Scrumっぽいけどチョット違う形〜

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クラウド経費でテックリードをしているmiyamuです。

全体を通じてスクラムそのもののあり方を問い直すセッションが多かったのが印象的でした。やはり時代の変化の激しさがダイレクトに反映されていますね。

その中でも本セッションではAI時代を踏まえたスクラムの上手い「ずらし方」が紹介されていて印象的でした。
型に囚われすぎず、本質的な課題解決に目を向けて、スクラムをうまく使っていきたいですね。

余談ですが「トレジャーストーンパークかよ!」は定期的に声に出したい日本語でした。

AI×スクラムの「新・セオリー」を探す旅 — AI推進派の二人が直面した、予想外のジレンマ

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クラウド経費のGuardianグループでCRE(Customer Reliability Engineer)をしている、しまむーです。

上記のセッションでは、「スクラムのセオリーが開発スピードを殺しているのではないか」というお話が展開されていました。

弊グループでもスクラムの要素を取り入れていますが、保守運用業務と機能改善の両立を追求する中で、無意識のうちにスプリントの枠に囚われてしまったり、次のプランニングまで動くのを待ってしまったりと、なんとも言えない歯痒さを感じていたところでした。

そのため、スプリントが固定長であるかどうかにこだわるのではなく、「目標設定とふりかえりをどうするか」という問いかけや、「リズムとしてスプリントを持つことが重要」という意見には、深く共感しました。

余談ですが、次回は自身のプロポーザルが採択されるよう、日々のチーム開発にさらに力を入れて取り組んでいきたいと思います(笑)。

契約形態を超えた一体感!業務委託メンバーを巻き込むチームビルディングで自律したチームを創る

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クラウド経費/クラウド債務支払の横断開発チームでテックリードを務めているBondeeです。

セッションのタイトルには「業務委託メンバーを巻き込むチーム」とありましたが、実際には雇用形態を問わず、多様な価値観を持つメンバーが集まるすべてのチームに共通する、非常に学びの多いセッションでした。

メンバーが自律的に協力し合うために、チームビジョンを共有し、互いの価値観を深く知る場を設けるだけでなく、チーム名に至っても自分たちで決めるなど、主体性を引き出すための具体的なアクションが印象的でした。
特に、チーム名を決める前は「〇〇さんチーム」と呼ばれ、特定の個人に責任や依存が偏重しがちな状況で、そこから脱却し、チーム全体でオーナーシップを共有する組織へと変化を遂げたプロセスは、非常に見応えがありました。

多様なバックグラウンドを持つメンバーが多数在籍し、グローバルな組織となっている私たちにとって、スクラムなどのフレームワークを回す以前に、こうした「土台となるチームビルディング」こそが何より重要な価値を持つということを再確認できました。

AI駆動で爆速開発した結果、スクラムを形骸化させた話

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カードプロダクト開発部でQAエンジニア兼スクラムマスターをしているkoriです。

このセッションでは、AIでアイデアがすぐ形になる快感が、チーム内の対話を省略することへの無意識の正当化につながり、気づけば目的と合意を置き去りにしていた――そんなリアルな失敗談が語られていました。

特に印象的だったのは「AIとスクラムは対立するものではなく両輪である」という整理です。
AIは作る速度を上げるもの、スクラムは作るべきものを合意するもの。役割が違うからこそ、どちらか一方では成り立たないということを、ご自身の経験を通じて伝えてくださいました。

個人的に、今のチームもまさにAIによって開発スピードが上がる中で、今までどおりのスクラムのサイクルやイベントの持ち方が適切なのか、という懸念を感じていたところでした。
ここで得た気づきを持ち帰り、「速く作れるようになった今だからこそ、合意のプロセスを大事にする」という意識をチームに還元していきたいと思います。

まとめ

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最後のパネルディスカッションを見て、雷に打たれたような感覚に陥りました。
皆さんご存知の通り、AIの台頭によって、エンジニアリングの世界は急速に変わりつつあります。
役割の境界は溶け、スクラムチームは小さくなり、スクラムマスターという職種すら問い直される時代になってきました。
「何でもやれる人しか生き残れない」という感覚はリアルで、ビジネスと技術を一気通貫でこなせるFDE(Forward Deployed Engineer)のような人材がますます求められるようになることでしょう。

ですが、むしろ面白い時代に生きているなと感じています。
「その人と一緒に仕事をしたいかどうか」という、人としての信頼や誠実さが輝きを増していくとしたら?
技術がどれだけ進化しても、人と人とがつながることが仕事の本質なのかもしれません。そこには、AIには代替できない豊かさがあると、私は信じています。
変化を恐れるのではなく受け入れて楽しむ。それこそがスクラムやアジャイルの本質なのではないでしょうか。

お二方が話されていた、「空いた時間で顧客に会おう」という言葉が、妙に刺さりました。


そして、このレポートを締めくくる前に、どうしても伝えたいことがあります。

スクラムフェス福岡2026を企画・運営してくださった実行委員の皆さん、本当にありがとうございました。
参加者として会場に足を踏み入れた瞬間から感じた、あの温かくて前向きな空気は、一朝一夕では作れないものだと思います。
セッションのひとつひとつ、休憩時間のちょっとした工夫……その裏側にどれだけの準備と想いがあったか、参加してみて初めて実感しました。

地域コミュニティが主導するカンファレンスだからこそ生まれる、あの「同じ現場で悩む仲間がここにいる」という安心感。
それは、実行委員の皆さんが丁寧に場を整えてくださったからこそ、私たちが受け取れたものだと思っています。

この場を借りて、心からの感謝をお伝えさせてください。
またこの場所で、皆さんとお会いできることを楽しみにしています。