まえがき
こんにちは、あるいはこんばんは。
クラウド経費本部 プロダクト開発部 Guardianグループでリーダーをやりつつ、福岡TechPR(技術広報)でよろずやをやっている、@tosite(てっしー)と申します。
2026年3月19日(木)、マネーフォワードの新福岡拠点(福岡大名ガーデンシティ)にて、「Fukuoka CRE Lounge 〜3社が語る、CREの過去・現在・そして未来〜」を開催しました!
株式会社SmartHRさん、株式会社ヌーラボさん、そして株式会社マネーフォワードの3社による共同開催でした!

「CRE (Customer Reliability Engineer / Engineering)」という役割について、各社の現場の課題や取り組みをざっくばらんに語り合う会になりました。
本記事では、当日の様子をレポートします。
発足した経緯
実はこのイベント、最初は「福岡でCRE領域を盛り上げたい!CREの認知度を上げたい!」という想いから、SmartHRさんとマネーフォワードの2社で立ち上がった企画でした。
そこから「せっかくなら福岡を拠点に活躍する企業でもっと大きくやろう」とヌーラボさんにもお声がけし、今回の3社合同開催が実現しました。
私自身、CRE組織のリーダーと福岡技術広報を兼任している中で、「CREって何やってるの?」と聞かれることが多いです。
だからこそ、福岡の地でCREの存在感を少しでも広げたいという気持ちがこのイベントの原動力でした。
そして、このイベントのバナーは弊社デザイナーの井上(いんとか)さんが作成してくれました。
せっかくなので一言いただいちゃいます!
井上(いんとか)さんより、バナーに込めた思い
ロゴタイプの黒とグレーの切り返しは、異なる領域が重なり、繋がっていく様子を象徴しています。
また、共催3社のブランドカラーをロゴのアクセントとして取り入れさせていただき、各社の知見が交差する"LOUNGE"であることを表現しました。
今回のデザインが、CREのこれからを共に考える一助になれば幸いです。
登壇パート
イベント前半は、各社のエンジニアと一般公募枠の皆様によるLT(ライトニングトーク)セッションです。
マネーフォワードからは3名、そして一般枠からは2名のエンジニアが登壇してくれました。
それではまずは、各登壇の紹介です!
nekomaho: CREがSLOを握ると何が変わるのか SRE経験者が見たCRE×SLOの可能性
SREに所属していた際、設定したSLOがユーザーの期待値と乖離してしまうことを課題に感じていました。
CREでは顧客からもっと近い位置にいるエンジニアとして、環境変化に合わせて「ちょうどいいSLO(Service Level Objective: サービスレベル目標)」を保つことができるのではないか、という話をしました。
Hide: CREは何をすると価値になるのか?
CREができる価値提供を4つのレベルに分けてお話ししました。 CREが考え、追求するべきテーマには、組織への価値提供とユーザーへの価値提供の2軸があります。 そして、そのレベルが上がるにつれて、その双方へ提供できる価値がどんどん大きくなると考えています。
Lâm: グローバルなチームで挑む問い合わせ対応
I talked about supporting a Japanese product from a global team—where the main friction is language and time zones—and how we’re tackling that today and where we’d like to go next.
We lean on frequent in-team communication in English so everyone stays aligned. Customer-facing work with CS stays in Japanese, but bilingual teammates bridge the gap, and AI translation has gotten good enough to help day to day. We also shift working hours where we can so more hours overlap across regions.
Looking ahead, we’d like a searchable document base so AI can propose answers to inquiries from knowledge—not only translate or send engineers hunting through code. We’re also interested in rotating other product engineers into inquiry handling so more people feel user pain and know the spec firsthand.
ゆっきー: QAエンジニアから見た信頼性をつなぐ営み
私はQAエンジニアの立場から、CREとの意外な共通点についてお話ししました。
CREの"カスタマー"はエンドユーザーですが、直接お客様と関わることのないQAにとって、"カスタマー"は開発チーム・PdM(Product Manager)・デザイナーといった身近なステークホルダーにあたります。
「C」の向き先は違えど、QAもCREも「信頼性をつなぐ」という根底は変わりません。だからこそ、ロールの垣根を越えて共通の目的に着目すれば、お互いがもっと強くなれると信じています。
パネルディスカッション: 3社が語る「CREの過去・現在・未来」
LTで会場が温まったところで、「過去・現在・未来」という3つの時間軸で各社のCREの実態に迫るパネルディスカッションが始まりました。
ここからは私の所感も交えつつ、内容を振り返ります。

過去編: CREになる前のCREに対するイメージは?

最初のテーマは「過去」についてです。
ぶっちゃけた話をすると、ここはあっさりめでした(笑)。
というのも、パネリストたちはすでに、保守運用という泥臭い領域の中に「楽しいこと」をどんどん見つけていくフェーズに入っているんですよね。
過去の苦労よりも今やっていることの方が面白くて、自然と話が現在や未来に流れていった感じです。
それだけ皆さんが今の仕事を楽しんでいるということだと理解しました。
まさに「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということなのかもしれませんが、過去の苦労よりも今の楽しさやこれからに意識が向いているのが印象的でした。
我々Guardianも同じで、保守運用をやっていて「つらい」よりも「面白い」が勝つ瞬間が増えてきたからこそ、この感覚にはすごく共感できました!
現在編: ぶっちゃけ、今の課題はなんですか?

ところが「現在」のテーマに入った途端、各社から生々しい悩みが次々と出てきました。
特に最近はAI関連の技術進化で認知負荷が上がっているという声が複数の会社から挙がりました。
開発組織の中にどう入り込んでいくかが大事だと分かっていても、そのコミュニケーションの取り方が難しいということです。
この話には会場からもうなずきが多かったように思います。
印象的だったのは、「"すべてを守る"ことから、"正しく守る"ことへのパラダイムシフトが求められている」という議論です。
限られたリソースの中で何を守り、何を手放すか。
これはまさに我々Guardianが日々向き合っている課題そのもので、思わず熱がこもってしまいました。
そして「正しく守る」ためには、信頼性活動のシフトレフトが必要不可欠だと考えています。
何かが起きてから対応するのではなく、起きる前にその芽を摘む。
地味ではありますが、これも大事なCREの仕事の一つです。
その他、マネーフォワードのHR領域のように複数プロダクトを横断して活動するCREならではの苦労も挙がりました。
いろいろな壁がある中で、最後はお客様やプロダクトに対して「誠心誠意」真摯に向き合う姿勢が大事だよね、という話に落ち着いたのが良かったです。
未来編: 自組織のCREの『未来』を語ってください!〜1年後の目標でも、10年後の夢でもなんでもOK〜 + あなたにとって「CRE」とは?


そして議論は、これからのCREの「あり方」に移っていきました。
ここで出てきたキーワードが 「独立遊軍」 です。
特定の部署に留まらず、「飛び込み力」と「誠心誠意」を武器に組織を横断して課題解決に動いていく、そんな遊撃隊のような柔軟さが求められるとのことでした。
手前味噌ですが、我々Guardianも日々の業務でたくさんのボールを拾い、隙間にこぼれ落ちたものも積極的に拾いに行っているので、「まさにそれだ」と膝を打ちました。
さらに議論が進む中で、私から「CREは一つの職種というより、開発者全員が持っておくべきマインドセットなのでは」という話をさせていただきました。
CREの「C」はCustomerですが、SREの「S」はSite、QAはQuality Assuranceと、「C」の向き先が違うだけで、信頼性に向き合うという本質は同じだという話です。
そして、だからこそこれらの信頼性は、CREだけに閉じる話ではなく、開発者全員が持っておくべきマインドセットだと思っています。
これからのAI時代、人が書くコードの価値は相対的に下がっていくと思っています。
だからこそ、プロダクトの「安全弁」としての信頼性活動がより重みを増すはずです。
先日のスクラムフェス福岡2026でもお話しさせていただきましたが、AIがどれだけコードを書いてくれても、プロダクトの信頼性を担保するのは最終的に人間の判断であり、その重要性はむしろ増していくと考えています。
また、よく「CREはドメイン知識に精通している」と言われますが、そのドメイン知識は大きく3つに分類できると思っています。
「業界」の知識、「顧客」の知識、そして「システム」の知識です。
この3つを横断しつつ、お客様のやりたいことをエンジニアの言葉に翻訳して、運用まで見据えて機能追加ができるCREこそが最強なんじゃないかと思いました(過言)。
これは先日のSRE Kaigi 2026でも感じたことですが、CREが進む道の先にはSREがあり、SREの魂はCREにも宿っていることを確信しました。
それらの根っこは「信頼性=Reliability」であり、私は今後「RE」の時代が来ると思っています。
そしてこの日、会場にいた皆さんも同じ未来が見えていたのであれば、こんなに嬉しいことはありません。
最後は「みんなで境界を溶かして、CRE活動をやっていきましょう!」という前向きな空気でパネルディスカッションが締まりました。
あまりにもアツい議論だったせいか、この日はイベント後も興奮冷めやらずという感じで、なかなか寝つけませんでした(笑)。
弊社パネリストから一言
実は今回のパネルディスカッション、私が直前になって「パネリスト登壇よろしくお願いします☆」と半ば強引にお願いして登壇してもらったという裏話があります(笑)。
無茶振りに応えてくれたお二人に感謝しつつ、一言ずついただきます!
Hideさん(HR)
前々からCREというポジションは結構難しいなと感じていました。
ずっと受け身で仕事をしているとただの「雑用」になるんですよ。前に「エンジニアの雑用」と言われたことがあります。とても傷つきました。
で、その状態の人を端から見ると、CREにはなりたくないって思われちゃうんですよね。
ですが、積極的に、そして妥協せずにユーザーの課題や組織の課題に向き合って動いていくと、組織の中でキーとなるポジションになることができます。
キーとなるポジションになることができれば、組織を動かせるチームになれます。組織の課題を解決できる技術者集団になることができます。
難しいポジションだからこそやりがいはあるし、達成できた時の成長はとても大きいですね。
今回、イベントの中で自分で話をしたりみなさんのお話を聞いたりして、自分の中でうまく言語化できていなかったCREというポジションについて整理できました。
参加されたみなさんにとっても、HR-CREのチームっておもしろそうだな、そもそもCREっていうポジション自体もおもしろそうだなって思ってもらえたら嬉しいです。
Iwami Yumaさん(会計Plus)
ご参加いただいた皆様、いろいろなナレッジを共有してくださった皆様ありがとうございました!
僕自身初めて福岡に来て、プロダクトを日々守っているCREの方々とこんなにも深いお話ができて、素晴らしい街だなと思いました。
このような活動が日本中のCREの意識も上げていくと思いますし、将来の優秀な新卒もCREになろう!って思えると思います。
保守運用、信頼などは重たい言葉ですが、エンジニアとして、特にこれからAIでいろいろな質のアウトプットが溢れていく世界で、一番大切なマインドセットになってくるのではないかなと思っています。
これからも皆様と一緒にCREという言葉を広め、盛り上げていきたいです!
懇親会

セッションの後は懇親会です。
CREならではのあるあるネタや日頃の悩みについて、あちこちで会話が弾んでいました。
おわりに
ご参加いただいた皆様、そして共催いただいたSmartHRの皆様、ヌーラボの皆様、本当にありがとうございました!
福岡でこれだけ多くのCREに興味を持つ方々と集まれたのは、とても嬉しかったです。
今後もマネーフォワード 福岡開発拠点では、こういった技術交流やコミュニティのイベントを開催していきます。
もし一緒にイベントをやっていきたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください!
CREの魂を胸に、明日からまた頑張っていきます。
そして私事で恐縮ですが、CREの立場からの知見をクラウドネイティブ会議で登壇することになりました!
CREとしてぶち上げていきますので、応援よろしくお願いします(笑)。
x.comということで、クラウドネイティブ会議採択されました!
— まおちゃ (@mao_sum) 2026年3月19日
当日はCREの立場からぶちかましてまいりますので、乞うご期待!https://t.co/4KSmaI69va
#cre_lounge
そして最後に、LTに登壇してくれた方からこんな言葉をいただきました。
「このイベントのおかげでCREという言葉を知ることができました。おかげで自分の活動に自信を持てました!(要約)」
これが本当に、めちゃくちゃ嬉しかったです!
イベントを企画した側が、逆に元気をもらってしまいました(笑)。
「CREの認知度を上げたい」という想いから始めたイベントでその言葉を聞けたこと、本当にやってよかったと思えた瞬間でした。
第二回を望む声が多かったと聞いているので、ぜひそのうちまた開催したいですね!
そして最後に……実はこのイベントの熱量が届いたのか、福岡開発拠点のCRE採用がオープンになりました!
「CREを福岡から盛り上げたい」という想いでイベントを企画してきた身としては、これは本当に嬉しいニュースです。
勤務場所は福岡・東京どちらでもOK!「話だけ聞いてみたい」という方も大歓迎なので、ぜひカジュアル面談からお声がけください!
(URLはシニアソフトウェアエンジニアのものですが、一旦こちらから「福岡CRE希望」ということでカジュアル面談をお申し込みいただければと思います)
皆様のご応募、心よりお待ちしております!
ぜひ僕たちとCREについて熱く語り合いましょう!(笑)
それでは、次のイベントでお会いしましょう!