おはようございます!! マネーフォワードMEでAndroidエンジニア兼スクラムマスターをやっているSaiki Iijimaです。
この記事は Money Forward Engineering 1 Advent Calendar 2022 の9日目の記事です。
8日目は ryosuke kamei さんのマネフォアドベントカレンダー2022・8日目 く〜ろ〜れ〜き〜し〜 〜SQLアンチパターン・DB設計アンチパターン〜 でした。
本日は私がスクラム経験0からスクラムマスターを始めた経験をもとに、もしスクラムマスターをやることになった時にまずどのように準備すると良さそうかを紹介します。
※著者情報の通り、私はまだまだスクラムマスターとしては新米中の新米なのでその点にご留意して読んでいただければと思います;)))
想定読者
- これから初めてスクラムマスターを始める人
- スクラム経験はないけどスクラムマスターをやりたいんじゃ!な人
- スクラムマスターをやれと言われたけど何をすればいいかわからない…な人
得られるもの
- スクラム開始準備の一つの例(答えではない)
得られないもの
- スクラムの知識
- スクラムの具体的なプラクティス
著者情報
- スクラムマスター歴5ヶ月の新米スクラムマスター
- 1チーム目で二ヶ月ほどスクラムマスターをし、現在移動した2チーム目でも引き続きスクラムマスターをやっている
- それ以前にはスクラム経験なし(前職で二年ほどウォーターフォール開発、その前にLean XPの経験あり)
- 宣伝:先日LINEマンガさん・CyberAgentさんと共同のイベントAndroid Tech Talkにて大規模サービスへのFlutterAddToApp導入について発表させていただきました。リンクから動画が観れるのでよければぜひ。会社紹介も私がやってます ;))))
Start!
1 .スクラムマスターになる
とにもかくにもスクラムマスターを名乗れる状態になる必要があります。 これは能力的な話ではなく、単純にチームと自分が「自分がスクラムマスターである」という認識を持っている状態になろう、という話です。
チームの役割を決めているのが上長であれば任命してもらい、チームで決めるのであれば自分がやることを明確に宣言しましょう。
私の場合は1チーム目は上長からの指名、2チーム目はチームのキックオフでの「開発プロセス整備を担当してくれる人います…?」みたいな時に挙手し、それ以来自分でスクラムマスターを名乗っています(こんな決まり方ある?と思ったので鮮明に覚えていますw)。
今はチーム的にも組織的にも私がそのチームでスクラムマスターをやっていることが認知されている状態(のはず)です。
「この人がスクラムマスターである」という共通認識があった方が色々と進めやすいので、まずはここをしっかり握る必要があると思います。
2.スクラムを学ぶ
スクラムマスターをやることを決めたらスクラムを学びましょう。 もしかしたら、これは「1.スクラムマスターになる」より先でもいいかもしれません。(というか先の方がいいのでは?)
幸いスクラムは有名なフレームワークなので書籍とWebで学ぶことが可能です。 (認定スクラムマスターの研修などを受けて認定資格を取るのがいいとは思うのですが、なかなかの費用がかかるため実はまだ取れていません…)
以下は私が個人的におすすめの書籍とWebページです。
書籍
スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術(必読)
- スクラム考案者のJeff Sutherland氏の著書
- なぜスクラムをするべきなのか?スクラムで得られるものは何か?を実例とともに語っている
- スクラムの実践方法よりは、マインドや意義について多く語られている最初に読んで欲しい一冊
- これを読むと「ウォータフォールやってる場合じゃないな…」というお気持ちになる
塹壕より Scrum と XP(必読)
- Jeff氏がうまくいっているとみなしている数少ないスクラムチームの実際のプラクティスが紹介されている本の翻訳版
- なんと無料で読める
- 現実のプロジェクトにスクラムを適用させた具体的な手法が知れるため非常にありがたい
- ブログ執筆にあたって読み直したのですが、良すぎる
- スクラムマスターをやる前に一読、ある程度経験して色々と困ってきたら再度一読するとよさそう
SCRUMMASTER THE BOOK 優れたスクラムマスターになるための極意
- スクラムマスターとは何たるかが書かれた本
- 抽象度が高いので最初の本としては難易度が高いイメージ
- (実はまだ読み終わってない…)
SCRUM BOOT CAMP THE BOOK【増補改訂版】 スクラムチームではじめるアジャイル開発
- 最初にスクラムのイメージを掴むのに良い
- みんな読んでるイメージがある
カイゼンジャーニー
- 熱い物語と共にスクラム・アジャイルのイメージが掴める
- さまざまなアジャイルのプラクティスを学べる
- 納期に間に合わないのでスクラムやめたりスクラムマスターが出ていったりする
Web
- スクラムガイド(必読)
- スクラムの定義が書かれている
- とても大事だがこれを読むだけでスクラムを実施するのは難しいため他の書籍も併せて読むのがおすすめ
- アジャイルソフトウェア開発宣言(必読)
- スクラムではなくアジャイル開発全体の話だが根本的な話なので大事
3.イベントとルールの整備
スクラムの基本を理解し(基本以上を理解するのは実践しても難しい)スクラムをやるぞ!という気持ちが高まったら、実施の準備を始めます。 具体的に明確にしておく必要のあることは以下です。
- メンバーの役割
- PO・スクラムマスター(ScM)・Developerはそれぞれ誰で、どのような役割なのかを明確化しておく
- PBIの所有者はPOである(PO以外が触ってはいけないという意味ではない)、ScMはスクラムを推進するがタスク管理をしたいわけではない、Developerはスプリントゴールの達成とどう達成するかに責任を持つ、プロジェクトの推進はチーム全員でやる、など
- 特にPOやScMがエンジニア出身だったりすると必要以上に開発に口を出すことが可能になるため最初に認識をあわせた方が良さそう
- スプリントの期間
- 長さは1週間〜3ヶ月とチームとプロダクトによってさまざまだが必ず固定の期間にすること
- 数スプリント試してその経験をもとに調整をすることは可能
- イベントと実施タイミング
- スクラムガイドに載っている最低限のスクラムイベントと自分達のチームで追加するイベントをスプリント中のいつ実施するかを決める
- スクラムとして定義されているイベントなのか、自分達で追加しているイベントなのか、の認識はあったほうがよさそう
- このタイミングについても改善し続けることになるのでとりあえず決めてやってみて必要があれば変更で問題ない
- イベント実施理由
- 各イベントについて、なぜそのイベントを行うのか?そのイベントのアウトプットは何か?を定義しておくと良い
- これが明確化されていないと無駄に長くなってしまったり無駄なMTGというイメージがついてしまったりする
- 理由が明確化できないなら多分いらないMTGなので無くす
- 各イベントの進め方
- 各イベントをどう進めるかと可能であればタイムスケジュールを決める
- 基本的に最初はスクラムマスターがファシリをすることになるが少なくともグダグダにならない程度には決めておく必要がある
- 特にレトロスペクティブ(振り返り)は方法がいくらでもある上にとても重要なため、手法とタイムスケジュールをしっかりめに決めておくのがおすすめ
- プロダクトバックログアイテム(PBI)の管理方法
- 利用するツールやストーリーの粒度など、POがPBIを作成・運用するのに必要なルールを決める
- たたき台を作成してから詳細はPOと話しながら決めるのが良さそう
- うちはZenhubを使っています
全ての項目について最初に決める必要がありますが、スクラムを始めたらその経験をもとにこれらも改善し続けることになるため結構流動的になります。 なのでそんなにガチガチにする必要はないのですが、スカスカだと不安になるので、自分とチームが安心できる程度には決めておくのが良いでしょう。
4.イベントとルールの共有
チームにイベントとルールを説明します。 Whyを厚めに語るのが良いでしょう。 チームがスクラムについてなにも知らないのであればスクラムについての説明も必要かもしれません。スクラムのティーチングもスクラムマスターの仕事の一つです。
MTGが多い・過去にやったことがあるがいまいちだった、などの声も上がるかもしれませんが真摯に話し合いまずは全員でスクラムをやることへの合意を取りましょう。 このタイミングで全員がスクラムに心酔している必要はありません。とにかくスクラムをはじめ、経験を積みカイゼンを重ねることで徐々に俺たちのスクラム!にしていきましょう。
スクラムで信じられるのは経験だけです。まずは一歩踏み出してとにかくチームで経験を積みましょう。
5.プロダクトバックログアイテム(PBI)の準備
POと協力して最初のPBIを作成しましょう。 プロジェクトが必要とするストーリーを全て作成し、重要度順に並べます。 見通しが立てやすくなるため、可能な限り最初のスプリント開始前に用意できるのが好ましいです。(見通しを重要視しすぎてウォーターフォールにならないように気をつけましょう) 期間的に難しければ少なくとも最初のスプリントで実施する分のストーリは作成しましょう。 可能であれば全てのバックログアイテムについて初期見積もりができると良いです。(見積もりはスプリントプランニングで行う、もしくは両方の場合もあるようです。ここは勉強中)
PBIの粒度や書き方、見積りの方法に関してはスクラムで明確に決められているわけではないのでチームによってまちまちです。POに丸投げせず、最初はスクラムマスターがある程度のルールを決めてコミュニケーションを取りながら作ってみるのが良いでしょう。
6.旅の始まり
いよいよスクラムの始まりです。 まずは各スクラムイベントを決められた時間内で実施しましょう。 いまだに"決められた時間内"というのがとても難しいです。議論が白熱するとついつい長引きがちです… しかしスクラムマスターは強い意志でタイムマネジメントをする必要があります。がんばりましょう(自戒)
ここからは毎日のスクラムイベントと開発を繰り返しながら、振り返りを重ね、自分達にフィットした俺たちのスクラム!の形を探し続けることになります。
かくいう私(たち)もいまだにそこには辿り着けておらず、日々悩みながらスクラムマスターをやっています。
また、イベントの実施だけではなく、日々の開発の障害を取り除いたり、チームを鼓舞するのもスクラムマスターの仕事です。他にも山ほどあるとは思いますが正直私もまだ把握しきれていません。奥が深い仕事です。
スクラムマスター自身も日々の経験からカイゼンを繰り返す必要があるとひしひし感じています。
まとめ
ということで、私がスクラムマスターを始める時にやったことを紹介しました。
これらはあくまでも例の一つであり、強く推奨やお薦めをする内容ではありません。なぜなら私もまだまだスクラムマスター勉強中のためです。
それでもこの記事がこれからスクラムマスターを始める一つの手がかりになれば幸いです。
一緒に最高のスクラムを目指してがんばりましょうね…!
良かったらあなたのチームのスクラムの話もぜひ聞かせてください!
明日はcabossoldirさんの記事です!お楽しみに!
ではまた。
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