Money Forward Developers Blog

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アドベントカレンダー紹介記事を書こうとしたらマネーフォワードのアドベントカレンダーの歴史を紐解いていた

はじめに

おはよう、こんにちは、こんばんは。 技術広報の luccafort です。 今年もあっという間に12月に突入しようとしている今日この頃ですが、皆さんいかがお過ごしですか?

ぼくは推しのチームであるマンチェスターシティが最近公式戦5連敗を喫して大変精神が安定しておりません。 もう1つの推しチーム、インテル・ミラノは立て直したのにどうして……。 ぼくの安らかな精神的安定のためにもシティには早く中盤からの守備を立て直してほしいと切に願う今日この頃です。

閑話休題、タイトルにもある通り、来週からは12月ということでアドベントカレンダーが開催されますね。

各社今頃レビューの準備に戦々恐々としているのではないでしょうか?(ぼくは今すぐ帰って寝てしまいたいです)
この記事は今年開催されるアドベントカレンダーを紹介しつつ、これまでのマネーフォワードのアドベントカレンダーの歴史を振り返ってみたいと思います。

アドベントカレンダーとは?

アドベント(Advent)とは英語で「降誕」を意味し、イエス・キリストの降誕を待ち望む期間(一般的には12月1日〜12月24日ですが、25日が含まれることもある)のことを指します。 そして、アドベントカレンダーとは、生誕までの日数をカウントダウンをする、期間限定のカレンダーのことを指します。 カレンダーにはポケットや扉がついており、その中に小さなお菓子やプレゼントが入っています。 「ドイツの二郎」こと、シュトーレンを一切れずつ食べる風習などがよく知られているのではないでしょうか。

この風習はソフトウェアエンジニア業界でも形を変えて取り込まれ、12月1日から25日までの間に毎日ブログ記事を執筆してクリスマスを迎えることを指すようになりました。 「なぜブログになったのか?」の解説は2016年時点で以下のブログ記事がまとめてくれているのでそちらを引用したいと思います。

yhara.jp

2008年12月、日本のPerl界隈でアドベントカレンダーが開催されます。以下の記事によると海外のPerlコミュニティでは2000年から同様のイベントが行われており、それを日本に輸入するという形だったようです。この年は特殊ルールとして、原稿を書いた人が翌日の担当を指名するというバトン式で行われています。

この記事によるとどうやら海外では2000年にはすでにアドベントカレンダーが存在していたようです。

web.archive.org

期限がきっちり決まっているから、目標が明確かつ、短期スプリントなので、怠惰な perl mongers にはぴったりでしょう。

いまも昔も、エンジニアは締切に追われないと書き上げるのに苦労するということが伺い知れますね。

アドベントカレンダー一覧

今年もさまざまなところで「アドベントカレンダーをやるぞ!」というメンバーが集まって記事を執筆するようなので軽く紹介させていただきます。

職種別

今年は(も?)エンジニア、デザイナー、カスタマーリレーションの3職種でアドベントカレンダーを開催しています。 エンジニアに関しては昨年に引き続き、英語ブログでのアドベントカレンダー、ブロガソンを開催しています。 やっているうちに「自分も書きたいが枠がない、追加できないか?」という意見が出れば増やす予定ですが、 この記事を執筆している段階で把握しているものは以下になります。

地方開発拠点

弊社は、東京、福岡、京都、大阪、名古屋に国内開発拠点があります。 各地方拠点は東京本社とは異なる特徴を持ち、それぞれのオーナーシップを発揮する場として1年に1度アドベントカレンダーが開催されています。 (たまに忙しくて忘れてしまうことがありますが、それも御愛嬌ということで……)

変わり種

その他、今年はよくわからない(なぜやろうと思ったのか本当によくわからないけど面白いのでヨシッ!)変わり種のアドベントカレンダーもあります。

マネーフォワードのアドベントカレンダーを振り返る

先ほどのアドベントカレンダーの出典を調べる記事を読んでみて「今年もアドベントカレンダー開始しますよ!」という記事を書こうかなと思っていたのですが、 ふと「マネーフォワードのアドベントカレンダーはいつ始まったのか?」が気になったので調べてみました。

2015年(最古)

現状知り得る限り最古のマネーフォワードアドベントカレンダーです。 VPoEの渋谷さんに確認してみましたが「それが最古だと思う」と言われたので多分そう。

asked-ryoff-as-VPoE-in-our-Company

少なくともぼくが認識できている当時の執筆者で、現在も社員として残っているのは3名。 まだ3名いるというべきか、もう3名しか残っていないというべきか悩ましいですが、このときは22名が執筆しています。

マネーフォワードのブログが生まれたのが2014年なので1年後にアドベントカレンダーやるくらい機運が高まったことがわかります。 ブログ開設の初年度に比べて投稿数が2倍だったので、社内で「発信頑張るぞ!」的な活動があったのかもしれないですね。

2016年

20名が参加。 企画者がこの頃から中出さん(現CTO)になっています。 餃子の支払と財布のダイエット食費を減らしたいのような記事があるのが面白いですね。

2017年

見つけられず。

2018年

何故かこれまでのQiita路線ではなく突然Adventarに移籍しています。 主催者が中出さんから稲毛さんに変わっている、またエンジニアだけだったアドベントカレンダーが全職種に対象を広げているなど エンジニアが盛り上がるイベントから職種を問わず盛り上がるイベントに変化していることがわかります。 2日目に「京都開発拠点開設するよ〜」という記事があり、個人的にはメモリアルだなと思いました。 当時京都の別の会社で働いてきながら読んだ記事が、いまマネーフォワード京都拠点で働いているときに発掘されるのが数奇な感じがして面白く感じました。

職種がさまざまなので書く内容もバリエーションに飛んでいていいですね。 個人的にはこの職種を問わず、みんなでお祭りに参加している雰囲気が一番好きです。

2019年

これまた主催者が変わって現京都開発拠点長のumisoraさんになっています。 誰かに任せるというよりも「やれる人が主体性を持ってやる」文化が当時からあったのかなと思って見ていました。

5年前まで来るといまも在籍してるがちらほら見つかる一方、退職していったメンバーも見える化されてしまい、少し寂しい気持ちになりますね。 この年から1つのアドベントカレンダーでは収まりきらず、職種ごとのアドベントカレンダーが生まれ始めています。

2020年

ぼくが入社した年(2020年1月入社)はCTOだけでなく、CEOもブログを書いていた模様。当時全然気づいていませんでした。

そして拠点としてのアドベントカレンダーは初(?)となるアドベントカレンダーを京都開発拠点が開始しました。 この頃、ぼくは本家と京都開発拠点の記事数を合計すると5記事も書いてる、一体どうして……。

2021年

2021年の3月だか4月だかに技術広報にチャレンジして初のアドベントカレンダーです。 この年から前年までの年間40〜50記事だった投稿数が大台の100記事を超え始めます。 過去最高更新したぞ!とか無邪気に喜んでました。

前年の2020年では1人複数回投稿しないと25枠埋められませんでしたが、2021年に2回以上投稿した人は数名でした。 現京都開発拠点長のumisoraや大阪開発拠点長のokeicalmと「拠点の人数も増えて活気が出てきたね〜」と話していた記憶があります。

2022年

2022年、一気にアドベントカレンダーの数が2倍になっています。とても大変だった記憶……。 マネーフォワードで初、エンジニアだけのアドベントカレンダーで2枚目に突入しました。

この頃からグローバルメンバーが増えており、ブロガソンという形でブログリレーを開始しています。 とにかく、この年はブログレビューが死ぬほど大変だったことしか記憶にありません。

2023年

福岡開発拠点がアドベントカレンダー初参戦!(ほんまか?) 相変わらずエンジニア向けのアドベントカレンダーが2つあり、大変そう(記憶が飛んでいて覚えていない)。 この年は忙しくて「関西開発拠点のアドベントカレンダーは任せた!」をしたら、みんな忙しくてすっかり忘れてしまい、そのままになってしまいました。反省。 「やるぞ!」となった瞬間で建設予定地を抑えてしまうのが吉。

2024年

そして今年……内容は前述したので割愛。 実は関西(大阪・京都)開発拠点のアドベントカレンダーと福岡開発拠点のアドベントカレンダーが同時に開催されるのは今回が初めてのことらしいと先ほど気づきました。 ちょっと意外。

今年新たに取り組もうと考えていること

note.com

今年の1月にnoteに書きましたがアドベントカレンダーは良い面もある一方で、改善できる面があると考えています。 以下はぼく個人がアドベントカレンダー企画に対して、もったいないと感じていることです。

  • アドベントカレンダーの執筆記事が消耗品になってしまっていること
    • 執筆のコストの割に報われた感が少ない
    • アドベントカレンダー以降に見向きもされない傾向が強い
  • アドベントカレンダーを執筆するコストが高い
    • ブログを執筆するコストは元々高い
    • 再利用性が低く、書いて捨てる行為になってしまっている
  • ちゃんとしたものを書こうとしすぎてしまう
    • 普段書かない人ほど、その傾向が強く出る
    • 5分でさくっとかけるような tips でいいのです。そういう tips の方が意外と有用だったりもします。やってみると、自分では Perl のことに詳しいつもりでも、知らないことが多かったりするものです。
      https://yhara.jp/2016/12/01/history-adcal-jpより引用。

    • 初心を思い出してもいいんじゃないだろうか。そのためにレビュアーもそういう前提の元、発信している記事だと認識し直してもいいかもしれない

これらに対して、まだアイディア段階ですが「Podcastを収録することが1つの解決策になったりしないだろうか?」と考えて、最近始めてみました。

creators.spotify.com

元々Podcastは「社内の人や取り組みを知ってもらうときにブログにするほどではないが、紹介できる媒体として優れている」と思い、企画を考えていました。 反面、ただでさえブログなどの投稿が多いのにプラットフォームを増やすのはどうなのだろう?と踏ん切りがついていませんでした。 そんな折、メンバーに「アドベントカレンダー書いてみない?」と聞いてみたところ、「みんないっしょだと思うがブログを書く暇がない」と返事をもらい、 「そうだよな〜ブログは書きなれた人じゃないと大変だよな」と思い、よりメンバーの負荷が軽いPodcast収録という形を取れるようにしたという経緯です。 「どうせアドベントカレンダーをやるなら、もっと楽しんでほしいな〜」と思っていたので、Podcastで発信を行うというスタイルを実験的に試そうと考えています。

アドベントカレンダーが登場した2000年代と比べて、いまは多種多様な発信のプラットフォームが存在します。 そう考えたときにブログ記事だけに縛られる必要性というのはあまりないように思います。

オンラインミーティングを30分行い、収録したデータを取って出しにするなら、すぐに配信できるPodcastはブログを書くコストよりもメンバーの負荷を大幅に削減できるのではないでしょうか。 中には話すのが苦手というメンバーもいるので、そういった方は引き続きブログを書いてもらえればいいと思います。

Podcastが優れていると考える点は他にもあり、発信するネタが思いつかなくても「最近困ったことについて教えてほしい」や「最近ニュースになった技術の話題についてどう思うか?」などMC役が掘り下げることが可能です。 ブログではそういったことはできないので、そこは会話というツールの強みかなと思っています。 (実際にはそこまで簡単ではなく、収録前に意見のすり合わせや注意事項の伝達などがあるのでもう少し負荷はあると考えています)

発信のハードルが下がる環境を構築するのが技術広報の仕事です。そして、発信されたナレッジが循環されるよう設計するのがこの仕事の大変であり、面白いところだと考えています。 そういった意味でYouTubeやPodcastのような媒体を使うのはとてもいい機会なのではないかと考えました。 弊社ではテキストの発信は十分すぎるほど行えているので、こういった変わり種の発信があってもいいし、駄目ならやめて新しく仕切り直せばいいと考えています。

まとめ

当初、昨年のアドベントカレンダーを紹介しているブログ記事を元になにか書こうと思っていたら思わず、これまでのマネーフォワードのアドベントカレンダーの歴史を振り返ること、そしてPodcastを始めた話をすることになりました。 これはこれで面白い記事になったと思うのでこのまま公開してしまおうと思います。

皆さんも、自社のアドベントカレンダーの歴史を振り返ってみると意外な事実や懐かしい気持ちになるかもしれないですよ。 それでは今年のアドベントカレンダーも「無理なく楽しんで」いきましょう!

[余談]ブログネタの探し方

ぼくは比較的ブログを書くことに慣れている人間なので、ちょっとしたことや今年登壇した内容から記事に起こそうと思えば最短2時間くらいで執筆が可能です。 以下は実際にアドベントカレンダーに欠員が出てしまった場合、穴埋めのために用意している執筆テーマの一例です。 なお、原文ママで引用しています。

  • 海外登壇したときにやっておいたほうがいいことn選
  • 2021年の技術広報を始めたぼくに3年後のぼくから伝えること
  • なぜ技術同人誌を書くか(個人ブログっぽい。テックブログに不向きかも)
  • Money Forward Tech Dayの裏側からみた話(広報チェック入りそうでダルい。シュッと出したい)
  • イベントやブログの「質が高い」とはどういう状況か
  • ruby.wasm 超入門の補足解説記事
  • Money Forward Tech Dayのプロポーザルに対する考察
  • Kyoto.JSで発表した Temporal API の記事作成

これらのテーマは「今年1年間やってきたこと、学んだこと、体験したことを振り返る」というテンプレートを元に「これなら書けそうだ」と思ったものをリスト化しています。 ブログネタの見つけ方に関しては以下のブログで紹介されている「第2部:ブログパターンの適用」から、自分がこの1年体験したことの中から探すと意外と見つかるのでオススメです。

blog.jnito.com