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僕と日本語のストーリー(後編)

つづきに

こんにちは、「MoneyForward Pay for Business」事業の英語化リード、シンガポール出身のリム・ベネディクトです。

前回、日本語学習に対する心境について、記事を書きました。 「感動しました!」と読者の何人かに言っていただけて感無量です。

弊社は、エンジニア組織の英語化が進んでおり、TOEIC700点以上の目標に向けて、学習に対して日々、内容とペースを調整する人は少なくありません。 その反面、私は日本語を勉強した当時、そのように計画を立てていたわけではありません。

そのため、有力な情報を伝えられるか不安ですが、今回は私が日本語を習得する方法について、ご紹介させていただきたいと思います。 英語学習に同じようなことが適用できるかわかりませんが、ご参考になれば幸いです。

日本語を深く知りたい情熱

日本語学習が楽しくなれば楽しくなるほど、もっと深く知りたくて、シンガポールに通っていた大学で日本語の言語学を副専攻にしました。 言語を理解するには、テキストに載っている文章の練習だけじゃ足りず、相手が発言するときの心境による言葉のニュアンスを読み取るなど、奥がものすごく深いなと思いました。

例えば、文章に「は」と「が」を使い分けるだけで伝える情報が変わります。 「何が好きですか?」と聞いたら、「ゲームが好きです」と答えれば、たくさんの趣味の中でゲームが最も好きということがわかります。 「ゲームは好きです」と言えば、ゲーム以外に趣味がないという情報が含まれているかもしれません。

「本音と建前」の日本社会で「察する」能力がなければ、うまくやっていけないと感じます。 「は」と「が」の違いみたいに、裏に隠れている意味を捉えなければ、誤解が生まれてしまいます。 このような細かいニュアンスを間違えると、失礼に当たる可能性も十分にあると思っているので、常に自分の気持ちを正しく伝えられる言葉を選ぶように心がけています。

英語は、日本語より意思をストレートに伝えるため、「察する」ことはそこまでありませんが、日常会話でも比喩(metaphor)やことわざ(proverbs)をよく使うので、違う難しさはあると思います。

「完全理解」を目指す

私は、中国語も(一応)できるので、ある程度は日本語の漢字の意味がわかります。 長くて難しい文章を読むときに、漢字をいちいち辞書で調べると時間がかかるので、ついつい言葉の読み方をスルーしていました。

日本に住んでから、日本人と会話せざるを得ない状況になり、言葉の読み方が分からなくて困っていたことが何度もありました。 それから、知らない言葉が耳に入れば、都度辞書で調べるよう心がけています。

文章・会話の背景(コンテキスト)を全体的に把握し、知らない言葉で戸惑わず、伝えられている情報を理解しようとする姿勢は、もちろんとても大事です。(言語学でいうとInference) ただ、相手のレベルに近づけば近づくほど、より流暢に楽しく会話ができるので、知らない言葉を少しずつ無くしていくといいと思います。

外国人扱いをされたくないプライド

シンガポールで通っていた日本語学校の授業で、簡単な日本語でもシンガポール人同士で会話していたことが、とても楽しかったです。 ただ、それだけに満足すれば、日本に住む夢が叶うことができません。

相槌といった表現なども、コミュニケーションには重要な要素なので、やはりネイティブ同士の会話を聞いて学ぶしかないと思いました。 漫画やアニメが面白そうですが、表現が大袈裟なのかなと思い、より現実に近い日本のドラマを見るようになりました。(それから、日本のドラマも演技が大袈裟なことに気づいたので、今はもう完全に見なくなりましたが・・・)

少し自信が付いたところで、日本人の友達が欲しくなり、九州大学への短期留学を決めました。 メディアを通して遠くから「日本」を見るより、実際に身近で日本と日本語を体験して、私に本当に合うかどうかを試したかったです。

日本の社会に出て、仲間の輪に入るには、自ら声をかけられるだけの日本語力が必要だと個人的に思いました。 なぜなら、外国人への配慮や英語で話をかけなければならないプレッシャーによって、私や他の外国人の同僚に近づこうとしない人が少なくありません。 日本語力を鍛えつつ、日本ならではの会話のネタを知っていくうちに、日本人の友達を作る際のハードルがだいぶ下がってきた気がします。

真似することが最も上達への近道

新しい言語を習得する際に、「こういうときに何と言えばいいんだろう?」を思うことが何度もありませんか?

私は、よく日本人の話し方と仕草を観察して、いいなと思った言葉を自分のレパートリーに取り入れるようにしています。 例えば、私の同期は人の話を聞いているときに、「なるほど」を連発する癖があり、いつの間にか私の方でも「なるほど」をよく言うようになっていました。 日常でもよくそのフレーズを使っていたら、何故か妻に怒られてしまい、今になって、それがしつこく聞こえてしまい相手に失礼だということに気づきました。

そのように自分より日本語が上達している人の影響を受けて、今でも話し方が進化し続けています。 今まで接してきた人の癖の塊と言っても過言ではありません。

一つのシチュエーションで、人によって使う言葉が違っても同じ系統の場合が多いので、慣れていないうちに真似するといいかもしれません。 そこから、その言葉が適切かどうか冷静に判断して、他の言い方がないか同じ方法で探ってみれば、シチュエーションが妙に変わっても戸惑うことはないでしょう。 私の場合、「なるほど」の連発を卒業して、「そうですか」や「そういうことですね」など言葉を変えられるようになりました。

「よこ」と「たて」の経験が同じように重要

前編に、色々な国の人の会話を理解するために、アクセントを聞き分ける力が必要だということを書きました。 その能力を鍛えるために、オンライン英会話で毎回のレッスンごとに講師を変えるという方法があります。 ただ、英会話に慣れていないうちに実践すると、毎回変わる相手の話し方についていけなければ、逆効果なのではと個人的に思います。

「よこ」の展開の前に、「たて」の深掘りが必要かもしれません。 心を許す特定の相手(長い付き合いをしている友人や講師)とコミュニケーションを重ねていくと、日常生活でよく交わす言葉が段々わかってくるし、時々言葉を間違えても気長に指導してくれるでしょう。 私の日本語教師は、クラスで話しやすい環境を作るために、教科書通りでなく、日本の面白い文化や芸能界について楽しい話題で授業を盛り上げてくれました。 生徒思いのいい先生に出会えてすごく良かったなと思います。

全くの他人と話すときに、言い間違えで変な空気にならないよう、気を使って慎重に言葉を選ぼうとすると、精神的な負担になるかもしれません。

おわりに

私が日本語を習得する方法を説明させていただきました。 意識的に長期的なプランを立てていたわけではありませんでしたが、段階を踏む度に次にすべきな行動を落ち着いて判断できたかと思います。

日本語で生活したうえでの困難や日本の社会人としての失敗談など、みなさんに共有したいことはまだまだたくさんありますが、これでしばらくはおしまいにしようと思います。

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