こんにちは。 マネーフォワード CTOの中出(なかで)です。
CTOの私が、普段「なにを感じて、どんなことを考えているか」について、四半期に一回社内へ共有している内容を一部編集し、エンジニアブログに公開したいと思います。
前回はこちら:マネーフォワードCTOが考えていること(2020年6月)
目次
- 技術ポートフォリオの配分を変える
- ベトナム拠点とグローバルエンジニアについて
- コロナ禍の新入社員への影響について
技術ポートフォリオの配分を変える
マネーフォワードは創業期からこれまで、Railsに集中する形で技術のポートフォリオを構成してきました。しかし私たちが中長期的に価値あるサービスを社会に提供し続けるために、技術戦略として、他の技術の割合を意識的に高めていく必要があると感じています。
これまでは、統一した技術で開発することのメリットが勝っていました。しかし多くのプロダクトがグロースしたため適材適所な技術選定を行う重要性が増しており、マイクロサービスアーキテクチャへの移行を行うことで、技術選定が柔軟に行えるようになりました。そしてエンジニア組織が拡大し、かつ世の中の技術がどんどん進化していく中で、中長期的にどんな技術が生き残るかを予測することは難しく、一つの技術に集中することのリスクが大きくなってきています。
まだまだRailsは人気がありますし、今後も多くのWeb系企業で広く使われ続けると考えていますが、以前と比べると、他の技術の選択肢が選ばれるケースが増えてきています。
その理由は、以下の組み合わせではないかと推測しています。
- フロントエンドのフレームワークが進化している
- フルスタックなWebアプリケーションフレームワークのニーズが下がっている
- バックエンドもJavaScript(Node.js)を選択するケースも増えている
- クラウドネイティブな技術(コンテナやサーバーレス、マイクロサービスなど)が広く使われ始めている
- 同じくフルスタックなWebアプリケーションフレームワークのニーズが下がっている
- よりクラウドネイティブな技術に適合する技術が選択されやすくなっている
- Pythonのシェアが急拡大している
- ML/DLが中心だが、Webにも一定割合で使われているはず
- 静的型言語の人気が高まっている
- グロースしたサービスでは静的型言語のメリットが大きくなる
今後はGolang、JavaScript(Typescript)、Pythonなどの新しい言語の割合を増やしていきます。
これまでもGolangの利用拡大を推進してきましたが、よりスピード感をもって技術のポートフォリオの配分を変える必要性を感じています。すでにベトナム拠点で開発する新規プロダクトのほとんどはGolangをバックエンドの開発技術として採用することが決まっていますが、日本の新規プロダクトでもGolangを使っていきます。
またフロントエンドの技術に対する投資も進めていきます。新規サービスではすでに使われ始めてますが、既存のプロダクトでも、積極的にReact/Next.jsまたはVue/Nuxt.js、TypeScriptなどの技術に置き換えていくべきだと考えています。
RailsはWeb系の会社を中心に広く使われ、またプログラム未経験者が学ぶ技術の第一選択肢として近年扱われてきたために、大きく裾野が広がりました。一方で、経験豊かなRailsエンジニアの採用は年々難しくなってきており、私たちのビジネスの成長に影響が出てきています。
こうしたことから、技術ポートフォリオを変えていくという意思決定をしました。
グローバルエンジニアとベトナム拠点について
21年入社予定の新卒エンジニアの多くが、グローバルメンバーになることが決まっています。ここ1、2年でも、新卒エンジニア採用における外国人比率は40~50%程度でしたが、21年入社は60~70%が外国人になる見込みです。エンジニア全体でも割合が増えてきており、数年のうちには全エンジニアの20%を超える想定です。
将来的には、そうしたグローバルメンバーから、全体比率と同程度のリーダーやマネージャーが現れるべきです。今後1、2年はそれを意識して、積極的に経験や機会を提供したいと考えています。
また、ベトナム拠点が急速に拡大しており、マネーフォワードの新規プロダクトの多くを担うようになっています。
新規プロダクト開発にチャレンジしたいエンジニアやプロダクトマネージャーは、ベトナムへ拠点への異動を希望することも多いです。貴重な経験を手に入れられますし、ベトナム拠点がチャレンジの象徴のような存在になっていることを誇らしく感じます。
一方で、拠点の急拡大に伴い、ベトナム拠点は、マネジメントチームの強化をしていくフェーズにあると考えています。
今後ベトナム拠点への異動を希望するメンバーには、自分が関わるプロダクトだけではなく、拠点全体のマネジメントについても当事者意識を持ってほしいですし、その結果として将来の経営幹部が現れることを期待しています。そして、よりグローバルな環境でチャレンジングな機会を求めている方は、是非一緒にマネーフォワードで働いてほしいと思っています。
コロナ禍の新入社員への影響について
コロナ後に入社してくれたメンバーと1on1などをする機会があります。
その際のヒアリング項目に、「会社」「上長」「職場」の3つの軸で 「いいと感じているところ」「悪いと感じているところ」という設問があります。その回答に、「会社や職場については、体感できていなさすぎて、正直良いも悪いも感想がほとんどない。わからない」というものありました。それも、一人ではなく、複数人から。新卒だけではなく、中途メンバーからもです。
コロナは、これまでの「企業で働く」という体験を大きく変えました。
個人差はあるでしょうが、新入社員は「会社の理解がなかなか進まない」「意識しなくとも自然と入ってきていた情報や組織の風土・雰囲気が、能動的に取りに行かないと入手できない」「これまでは自然と構築されていた横の繋がりが構築されにくい」と感じていることでしょう。
もちろんポジティブな体験の違いもあるでしょうし、そちらの方が大きいのかも知れません。しかし失われた体験が少なからずあることは認めざるを得ません。
「これまでと同等の教育機会を得られるか?」
「チャレンジ・成長機会を得られるか?」
「自分の一つ上、あるいはより早い成長を望む人に求められる二つ上の視座に触れる機会があるのか」
上記の観点で、リーダーやマネージャーが中心となって、今後の不利益に繋がらないようにケアしていきたいと思います。
オンラインにもオフラインにも、メリット・デメリットがあります。
私たちは双方の「いいとこどり」を進めていかなければなりません。どうしたら「いいとこどり」ができるか、社内でも話し合いながら考えていきたいと思います。
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