みなさんこんにちは。 マネーフォワードCTOの浅野です。
本日は『マネーフォワードが目指している未来のビジョン』について語ってみようかと思います。
これは、社内向けイベントの「マネーフォワードの未来について語る会」で発表した内容になります。
以前も「アカウントアグリゲーションのその先の世界を創る」というブログで金融業界のAPI化が進む未来についても語りましたが、今回は更にその先の世界です。
日本のキャッシュレス化はゆるやかに進行中
クレジットカード利用率、電子マネー利用率
(出典:クレディセゾン2016年3月期決算説明会資料)
2014年度の日本の電子決済率は、クレジットカードとデビットカードとプリペイド・電子マネーを合計すると19.9%になります。2013年度は同じ指標で17.8%だったので、1年で2.1%伸びている事になります。
同じく2014年度のアメリカの電子決済率は、クレジットカードとデビットカードとプリペイドを合計すると、なんと58.2%もあります。2019年予想は67.5%です。
このままだと日本がアメリカの電子決済率に追いつくには20年以上かかりそうです。
ただ、アメリカと違って日本における特筆すべき点が1つあります。
それは「電子マネー」の所有率です。アメリカではほとんどクレジットカードやデビットカードが利用されていて、電子マネーは使われていません。日本では多くの人が電子マネーを所有していて、少額の買い物にのみ利用されています。
すなわち、日本人はSuica等の新しい決済手段自体はかなり多くの人が経験をしていて、電子決済が主流になる土壌は出来ており、今後はゆるやかではありますが確実にキャッシュレス化が進んでいくと見られています。
2020年に向けての経済産業省のキャッシュレス化の取り組み
平成26年6月24日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂(PDF)において、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催等を踏まえ、キャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性向上を図る旨が盛り込まれていました。
下記の3点が経済産業省におけるキャッシュレス化への取り組みとなっています。
- 海外発行クレジットカード等での現金の引き出しが可能なATMの普及
- メガバンク3行に続き、主要コンビニエンスストアATMについても、海外発行クレジットカード等に対応予定。
- 地方商店街や観光地等でのクレジットカード等決済端末の導入促進
- 商店街振興の補助金等を活用し、地方商店街や観光地等において決済端末を導入することにより、クレジットカードの使用環境を整備。これまで、全国22の地方商店街において、決済端末の導入を決定。
- 公的納付金の電子納付の一層の普及
- 平成29年1月に運用開始予定のマイポータルに公金決済ポータル機能を設け、ネットバンキングやクレジットカード決済のサイトに移動し、年金保険料や国税の電子的な納付が可能となるような所要の措置の検討を行います。
このように、世界的にみて電子決済後進国の日本が少しでも欧米諸国に追いつくために国自体が動き始めていて、キャッシュレス化がより進む環境になってきています。
Apple Pay等のモバイルペイメントの普及
日本ではおサイフケータイというモバイルペイメントが2004年から開始されており、世界的に見ても先進的な取り組みをしていました。ただ、現在の普及率はそこまで高くなく、設定の難しさやデバイスの制約などを考えると、今のままでは今後爆発的に普及するのは難しそうです。
日本におけるモバイルペイメントは、今後ApplePay等の新しい仕組みが導入される事によって徐々に普及率を伸ばしていくものと見られています。
また、日本はポイントカードの需要が著しく高く、モバイルペイメントとの相性がとても良いです。1つのデバイスで複数の決済手段および最もお得なポイントカード提示が自動で行われるようになるというソリューションは、モバイルウォレットという概念を満たすものになっていくと思われます。
今後は現金も持ち歩かなくてよくなり、クレジットカードやポイントカードはモバイル化されていく事を考えると、財布自体がなくなっていく社会が到来するものと考えられます。
マネーフォワードユーザーとキャッシュレス社会
マネーフォワードを使うと生活のキャッシュレス化が進む
マネーフォワードを使いはじめると、クレジットカードの利用率が高くなるというデータがあります。
「マネーフォワード」は、クレジットカードでの支払いが毎日自動で家計簿に記録されるため、ユーザーは日常の現金支払いをクレジットカードに切り替える傾向があります。特に、カード利用回数が月間10回未満のユーザーの場合、「マネーフォワード」にクレジットカード登録後は、カードの利用回数が登録前の平均1.7倍に増加するなど、日々の決済手段の選択に変化があらわれています。 (引用:マネーフォワードとクレディセゾンが業務提携~1,000万人のクレディセゾンのネット会員の利用明細の自動保存に対応~)
統計データを分析すると、今までコンビニ等で現金で支払っていたものを、クレジットカードや電子マネーを使って支払う機会が増えている事がわかります。
電子決済の場合は自動で全ての支出がトラッキング出来るようになる為、家計管理という観点からいってもクレジットカードの利便性が向上するという事が背景にあると考えられます。
社会全体のキャッシュレス化が進むと本当に現金を使わなくなります。
当社役員は、米国に留学していた2010年の間、ほとんどの取引をクレジットカードで行い、現金支出もスーパーでのキャッシュアウトを使っていたため、年間で2回しか銀行のATMを使わなかったそうです。
マネーフォワードを使うと銀行ATMへ行く回数が減るというアンケートも出ているので、個人レベルでの生活のキャッシュレス化は促進出来ていると思います。
モバイル端末カード決済企業とのシナジーが高い
マネーフォワードを使うとユーザーのキャッシュレス化が促進されるため、全ての小売店や飲食店に対してクレジットカード等で支払うモチベーションが向上し、店舗側のクレジットカード決済対応の社会的なニーズを創出することが出来ます。
Square等のモバイル端末でのカード決済ソリューションは、店舗側にとってのカード決済導入コストを劇的に下げる事が可能になる為、両社の取り組みのシナジーがとても高いものになっています。 これらは偶然ではなく、日本全体がキャッシュレス社会へ移行していく中であらゆるプレイヤーがそれをサポートするようになる自然な現象になります。
また、そもそも店舗にとっての現金の管理コストはかなり高いです。
防犯の為のセキュリティ対策コストや、補充・釣り銭準備の為のコスト、お金の数え間違いや忙しい時間帯のオペレーションコストも高くつきます。 思い切って現金を一切扱わない店舗が出てくれば徐々に社会全体が変わってくると思いますが、現状でそこまでドラスティックに変えるとすべての顧客がついてくるのは難しい為、しばらくは並行して対応していくのが現実的ではあります。
当社としては、マネーフォワードを多くのユーザーに使ってもらうことで、店舗側のキャッシュレス化の流れを加速させたいと思っています。
少額個人間送金という新しいイノベーション
個人間での現金のやりとりは面倒だと感じる方は多いと思います。
今まで面倒だと感じていた、立て替え払いの精算時や、フリマアプリでの個人間での売買の代金支払い時などに、現金に代わる安全で安価で手軽な電子決済手段があれば皆使うようになります。
最近ではLINE Payなどの少額個人間送金サービスが出てきており、キャッシュレス化が進むとよりこのニーズが高まるため、今後この領域もイノベーションが起きると予想されます。
ユーザーからは、マネーフォワード上からも簡単に振込が出来るようにしてほしいとのフィードバックも多く頂いています。ユーザー利便性の事を考えると、資金移動機能に関してもお金の管理の一環として提供していった方が良いのではないかと考えています。
決済手段の多様化に伴い、高まるアカウントアグリゲーションニーズ
今まで現金で支払っていたものが様々な電子決済の手段で置き換わっていく事は、社会の大きな流れ的には必然です。
そのような電子決済が普及すると、個人の決済手段がより多様化していきます。Suicaで払ったり、Edyで払ったり、クレジットカードも複数枚使い分けて、LINE Payで割り勘精算をしたりする社会がやってきます。
現金決済にくらべてユーザー利便性が遥かに向上する事との引き換えに、デメリットとして管理が繁雑になっていく事が考えられます。それぞれの決済手段の残高がいくらになっているのか、複数枚のクレジットカードの翌月請求額に対して銀行口座残高が不足しないか、などです。
結果として、全ての口座を一括管理できる技術であるアカウントアグリゲーションを用いたマネーフォワードへのニーズが高まる事になります。
マネーフォワードは、きたるべきキャッシュレス社会に先駆けて自動管理が可能なソリューションを提供しており、社会の進化と共に、サービスも進化させていきます。
マネーフォワードが目指すお金のプラットフォームというゴール(まとめ)
日本でもキャッシュレス化が緩やかに進む中、マネーフォワードがその未来の到来を加速させる事が出来ると思っています。マネーフォワードがキャッシュレス化を促進させ、社会のキャッシュレス化が進むとマネーフォワードがより必要とされる世界が必ずやって来るでしょう。
その世界において、ユーザーのお金の課題を真に公平で誠実な形で解決するサービスをどんどん生み出していきたいと考えています。
「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションにはそういう原点となる想いが込められており、すべての人の為の「お金のプラットフォーム」を創りあげる事がマネーフォワードというサービスのゴールとなっています。
マネーフォワードが実現させる、わくわくするくらい便利なキャッシュレス社会の到来を、是非楽しみにしていてください。
さいごに
マネーフォワードでは、様々な職種で一緒に働く仲間を募集しています。 ご応募をお待ちしています。
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