はじめに
こんにちは、マネーフォワードでモバイルアプリエンジニアをしているサカイです。
普段は「マネーフォワード Pay for Business」のiOSアプリ開発を担当しており、プライベートでは「2024年の恵方コンパス」というiOSアプリの開発・運用をしています。
さて、先日try! Swift Tokyo 2024に参加、およびLT枠にて登壇しました。これはSwiftを使う開発者が国内外から集まる国際カンファレンスで、今年は3/22〜3/24での開催でした。
また、マネーフォワードはシルバースポンサーを務めました。
この記事ではLTのプロポーザル提出時に意識していたことや登壇当日に感じていたことを思い返し、私のtry! Swift初参加を登壇者の目線で振り返ります。
登壇内容
「何が写真をレトロたらしめるのか、Swiftを用いたその実現方法」
("Creating Retro-Style Photos Using Swift")
実際にiPhoneで撮影した写真の見た目をフィルムカメラで撮影した写真に近づける、という内容のLTです。
プロポーザル提出時に考えていたこと
try! Swiftで登壇することは難しく狭き門と聞いていたため、プロポーザルを書いたものの通るとは思っておらず、採択通知を受け取った時は驚きました。
一方で、自分が話せるネタを最大限魅力的に感じてもらえるように意識していたのは事実なので、それが功を奏したように思います。
採択が決まった後、マネーフォワード福岡開発拠点にて開催された「モバチキ 〜Mobile Tips 共有会〜 #3」というイベントの中で、try! Swiftのプロポーザル作成時に意識して良かったと思うことを整理して紹介しました。
以下に内容の要約と発表資料を掲載します。カンファレンス等のためにプロポーザルを書く方の参考になることが一つでもあれば幸いです。
- Call for Proposals(CfP)の詳細をよく読んで、何が求められているのかを把握する
- 求められていることに加え、自分だからこそ提供できる面白さを発表内容に組み込む
- 発表内容を過不足なく伝えるようなプロポーザルを書く
スピーカーから見た当日の感想
ここからは登壇当日に印象に残った点を紹介します。
サポートが手厚い
スピーカーには控え室が用意されており、そこで発表の練習や心を落ち着かせることに集中できます。
また、登壇者をサポートする役割を持ったスタッフの方(リエゾンと呼ぶらしい)にも助けられました。登壇までの段取りを全て把握した上で、通訳との打ち合わせや登壇直前など、しかるべきタイミングでしかるべき場所に案内していただけます。
このカンファレンスに初めて参加するため勝手が分からない上、事前に決められたスケジュール通りに進行しない場合もあったため「今どうなっているんだろう、どこに居たらいいんだろう」という不安が頭をよぎりましたが、リエゾンの方のおかげで安心して登壇準備に集中できました。
カンファレンスが盛況のうちに終わったのも、リエゾンの皆様をはじめとしたスタッフの方々の尽力あってのものだと思います。この場を借りて感謝を申し上げます。
発表時間に余裕がある
採択されたのは5分間のLT枠でしたが「内容をきちんと伝えることを優先してほしい」という意図で、実際には10分間が与えられていました。
伝えたいことを全て内容に含めた場合、5分間に収めるのがやや難しかったため、そのバッファが非常にありがたかったです。本番中に焦る理由もなくなり、心に余裕を持った状態で話せました。
余裕がありすぎて、本番中にフィルムカメラで写真を撮るパフォーマンスも差し込めました。
スピーカーへの照明がかなり強いため観客席はほとんど映りませんでしたが、雰囲気のある写真が撮れていました。
たくさんの方が聴いてくれる
カンファレンス初日、会場に到着してすぐ参加者の多さと多様性に驚きました。700人以上の方が参加され、海外からの参加者もかなり多かったです。(200人ほどと聞いた覚えがあります)
また、1トラック制であることが特徴的だと感じました。以前登壇したiOSDCでは複数のトラックでセッションが並行して行われるため参加者が分散します。参加者は複数ある中から興味のある話を選べる点が嬉しい仕組みです。
対してtry! Swiftでは広い会場が1つあるのみです。そこで参加者全員に対して話すため「ここに居る人達の旅費と参加費に見合う発表をしなきゃ」と身が引き締まりました。
個人的推しトーク
国内外の素晴らしい方々が登壇されていたので、ここでは少し他のトークも紹介します。
try! Swift Tokyo 2024 のスライドまとめに各発表のスライドをまとめてくださっているので、興味がある方はチェックしてみてください。
個人的には私のLTの直後に行われた「Swiftの型推論を学ぼう」がとても勉強になるもので好きでした。
私たちは型推論のおかげで安全かつ簡潔にコードを書くことができていますが、あまりにも当たり前に感じている機能であるため、改めてその仕組みを学ぶ機会がありませんでした。
発表の前半では基本的な型推論の仕組みを説明し、後半にはSwiftの言語仕様を実現するために拡張された推論の手法を解説していました。前半は学生時代に学んだことを思い出しながら聴きましたが、後半は初めて触れる内容でした。基礎的な内容から実際に私たちをサポートしてくれる現実的な機能の仕組みまで網羅していたため非常に勉強になりました。20分ほどのトークでしたが、大学の授業2、3回分の内容が詰まっていたような、とても濃い内容でした。
おわりに
2日目の夜に行われた懇親会で多くの方に「LTめっちゃ良かったです!」と声をかけていただいたことをよく覚えています。
話の流れや見せ方について、発表資料作成時点の自分はベストだと考えていましたが、見てくれる方が本当に良いと思ってくれるかは本番まで分かりません。
大きな国際カンファレンスなのでその不安は強かったですが、良いと思って作ったものに対して「良かった」とたくさん言ってもらえたことで、この発表の準備にかけた時間と苦労が報われました。
そうして「登壇は大変だけど良い体験だなあ」と改めて感じたカンファレンスになりました!
📣 try! Swift Tokyo 2024 Session Start 📣
— try! Swift Tokyo (@tryswiftconf) March 23, 2024
"何が写真をレトロたらしめるのか、Swiftを用いたその実現方法 / Creating Retro-Style Photos Using Swift"
🗣️ by @_ski_u 👏 #tryswift pic.twitter.com/fHNkICtR9j