広報の青木です。
マネーフォワードでは、気軽に遊びに来ていただける場として、MoneyForward Meetupという交流会を開催しております。 今回は、「エンジニア×営業×CS」をテーマに開催し、エンジニア、営業、CSのメンバーが各々の立場からのユーザーフォーカスについて発表いたしました。
※第11回目は「リニューアルの裏側Night」を開催予定です。
サービス開発の日常
最初に、『MFクラウド会計』のエンジニア小椋より乾杯後、個人からの発表へとうつらせていただきました。
この日、体調不良だった小椋はマスク姿で登場し、彼自身はお水で乾杯でした…!
小椋からは「ユーザーフォーカスしていないなんてことはない」という前提の元、『MFクラウド会計』をグロースさせるにあたり、どのような考えに基づき、どのような選択をしてきたかをお伝えしました。
サービスは売り物であり、使い続けていただくことで価値が磨かれ、スケールしていきます。使っていただくためには営業が、継続していただくための適切なガイドにはCSが、安定性・性能を担保するにはエンジニアが、各々の担当領域でコミットする必要があります。
『MFクラウド会計』は、サービスリリースから3年が経過し、新機能の追加や拡張、当初想定との相違、諸々の改善などの整理の際には、「現時点で機能を追加すべきなのか」「改善の優先度を上げていくべきか」など両方の視点がありますが、小椋は「どちらもそれなりに正しい」と話します。
しかしながら、リソースは限られており、サービス特性上、全方位でコミットできない場合には追加条件を考える必要があります。そのような状況下において、開発サイドは、スピードが落ちた理由・サポートコスト・現状のソースコードなどの状況を加味した上で「既存改善」という選択を取りました。
中長期的に各々にとって最善と判断した上での選択でしたが、この選択を営業やCSに伝えた際、受け入れてくれたことに感謝したいと話しました。自分達が今できることを率直に伝えただけに過ぎないが、受け止めてもらえる信頼関係を築けていたのではないかとのことです。
現在は、新たな機能追加に向けて既存コードの見直し、継続的な安定化のための仕組みづくりなど、次のステップをスムーズに進めるための基盤構築や、これらを継続するため他チームとの連携にも力を入れています。
結論として、
・開発すべき機能はサービスのライフステージに応じて判断していること ・サービスには焦点にしたい軸によって見える性格が異なり、それぞれが営業やCSに関わってくること ・エンジニアがシステムに責任を持ち、他チームと連携しながら適切にバランスを取ってグロースさせていきましょう
ということをお伝えしました。
https://speakerdeck.com/littlestarling/sabisukai-fa-falseri-chang-mf-meetup-number-10
数字と理想のプロダクトの狭間で営業ができること
次の発表は、MFクラウド事業推進本部の部長伊藤より発表させていただきました。
まず、伊藤からは、マネーフォワードでは営業は「Sales」というよりは、「Bizdev」の意識が強くあり、部署名も「営業部」ではなく、「事業推進部」であるとお伝えしました。そんな事業推進部では、中小企業様や個人事業主様に直接ではなく、そのハブとなる士業事務所様に向けてアプローチをしており、最近では、金融機関様や商工会議所様との取組みも拡大しています。
このアプローチ先を開拓し、より多くの皆様にお使いいただくことが事業推進部のミッションですが、もちろん毎月の売上を上げることも使命です。そんな中で商談をしている際には、「●●の機能を追加してくれたら●●万円買うのに…」と言っていただくこともあるとのことですが、一方で既に計画されている開発側のスケジュールもあります。
最近では、プロダクト毎に開発会議、開発要望PJなどが立ち上がり、優先度の整理や根拠の共有などを行っているとのこと。現在は事業推進メンバーが30名程居て、全国各地に拠点もあり、すべての要望の集約はハードルが高いため、このような場が設けられました。
お客様からのご要望の中でも、確実に開発が必要なものの他に、オペレーションを効率化にすることで新規開発は不要になるものもあります。そこは事業推進内で共通認識を持った上で、開発要望としてあげるものについては、優先順位の根拠として売上見込の規模や、要望をいただいたお客様の規模・業種などの詳細を開発側に伝えるようにしています。そして新たな活用方法を提案する場合にも、前のめりで伝えていくというスタンスを大事にしており、ただの御用聞きではなく、一緒になって考えるということを強く意識して活動していると話しました。
このようなスタンスで営業活動を行っていると、営業・CS・エンジニア間での共通認識が形成されていきます。開発会議で出たアウトプットを事業推進メンバーで共有し、その開発スケジュールをお客様に根拠を以て伝えることができたり、期待値コントロールができることもあります。こちら側の意図を伝えることで、お客様からは「頑張ってね」というお声をいただくこともあり、互いが体制を整えて開発に挑むことが、よりお客様の満足度の向上にも繋がっていくようです。
結論として、
・日々お客様からの生の声を聞いている営業が、そのFBを開発側に伝えないのは罪だということ ・描いている未来に直接的に牽引していけるのも営業だということ ・その時に期待値を超える効果と感動を感じていただけたら、ユーザーフォーカスが体現できているのではないか
ということをお伝えしました。
バラは誰に渡すべきか~CSにおけるユーザーフォーカスとは~
最後の発表は、MFクラウドサポート本部の部長高橋より発表させていただきました。
高橋からは、1人の独身男性(バチェラー)の心を勝ちとるため、25人の女性たちが競い合う恋愛リアリティ番組『バチェラージャパン』を例に取り、ユーザーフォーカスの話をお伝えしました。番組でのバチェラーは、心を決めた唯1人の女性にバラを渡しますが、高橋は「渡せるバラが無限だったらこの話は面白くない。CSも同じである」と前置きし、CSの存在価値についての考えを展開していきます。
CSはそれ単体では価値がなく、企業とユーザーをつなぐことでようやく存在する意味が生まれます。『MFクラウドシリーズ』のCS業務は多岐に渡りますが、そのどれもがユーザーフォーカスをベースに行われているとのこと。一般的に、CS業務とは、「ユーザーの疑問を解決して感謝される」「トラブルを未然に防ぐ」「わかりやすく説明する」などがあげられますが、マネーフォワードのCSにおいては、「課題そのものをなくすプロダクトへの貢献」が存在価値であり、「感謝されるべきはプロダクトであってCSではない」とお伝えしました。
従来のCSのイメージは多々あれども、本来CSは難しい課題や目的にトライしているし、それらは開発や営業と同じような視点で企業のサービスや事業に貢献できるのではないかとのこと。一般的に、サブスクリプションモデルの事業においては、初期のフェーズではWebマーケや営業、導入支援などのコストがかかります。しかし、CSはどのフェーズに置いてもユーザーと接点を持っており、導入時期や利用中の問い合わせなど、常にタッチポイントがあり、サービスの利用継続において貢献していると言えます。
そんな中でCSがフォーカスすべきユーザーとは、『MFクラウドシリーズ』の場合、個人事業主、法人、税理士・会計士・社労士などの皆様であり、三者三様で様々な角度からご要望をいただきます。その方々に対して、営業、CS、エンジニアの三者が何を提供していくかを決定する必要がありますが、一方でそれは「何をやらないか」を決めることでもあり、合意形成・戦略決定をする上では、それらをフラットに話し合います。
まとめとして、
・CSにおいては、ターゲット整理、戦略決定、開発、CS運用、VOC収集などに従事し、ビジョンやサービスの方向性にマッチするユーザーを惹きつけることができているか ・今、誰に、何を届けるのか ・それを常に考えながら日々の業務にコミットしている
ということをお伝えしました。
https://speakerdeck.com/mfccsyt/meetup-20170426
パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、『MFクラウドシリーズ』を統括する執行役員で事業部長の山田がファシリテーターとして参加し、「全方位からのサービス開発」をテーマに、様々な議論を展開しました。 応募者の方からいただいた質問を中心に議論が弾みましたが、その一部をご紹介します。
CSとエンジニアと営業の関係
山田:まずは…「CSとエンジニアと営業って仲悪くなりがちだと思いますが、いかがでしょうか?」という質問をいただいています(笑)。高橋さん、いかがでしょうか?
高橋:他の会社さんがどうかは不明ですが、僕はこの会社の人たちは好きですね。僕はこれまで音楽関係の仕事をしてきて、その時には「嫌だなぁ」と思う人もいらっしゃいましたが(笑)。幸運なことにこの会社ではエンジニアや営業の方達のことは尊敬しながら仕事ができています。
山田:好きというのはどういう部分が好きなんでしょう?
高橋:マニアックな人達が集まっているところが良いですね。元マジシャンの営業の方とかいらっしゃいますよね。
伊藤:私の場合、大企業も小規模な企業も経験しましたが、振り返ると規模などは関係なく、当社は仲が良いなと思います。代表の辻をはじめ、トップのメンバーも現場も同じようにユーザーフォーカスの観点をもって日々全力で取り組んでいるなと。スモールチームでやっていることも影響していると思いますし、チャットワークなどでも、仕事やプライベートまで色んなチャットが立ち上がっていて、密にコミュニケーションが取れているなと感じています。
山田:チャットの話を掘り下げたい所ですが(笑)。では、小椋さんはいかがですか?
小椋:そうですね。昔、"BUCK-TICK"というバンドが「長続きした理由が何か」という質問に対して、メンバーが「我慢」と答えた、ということをオチとして考えてましたが…。
一同:(笑)。
小椋:真面目に話すと、僕も企業からフリーランスまで経験してきましたが、プロダクトの距離感の違いかなと思います。つくるエンジニア、売ってくださる営業、サポートしてくださるCSというのが三者三様で密接であったり、それぞれが自分事で考えているのかどうかがポイントになるのかなと。なので、「あなたにとっての自分事ですか」というのを心がけています。
開発チーム以外からのサービスへの貢献
山田:当社は、CSから他部署にキャリアチェンジするメンバーも多いですよね。
高橋:そうですね。PMOや事業推進など、いろんな場所で元CSメンバーが活躍しています。彼らはCSの血を持った上で他の業務に携わっているので、意思疎通がすごくスムーズなんですよね。なので、CSを経由してサービスづくりや販売に携わっていくのは非常に良いことだと思います。
山田:実際元CSメンバーと一緒に働く伊藤さんはいかがですか?CSメンバーが営業をするということの難しさなどありますか?
伊藤:CSだった現事業推進のメンバーは、プロダクト知識は豊富ですし、当初からお客様対応も問題ありませんでした。営業として実績を積んでいくという点ではゼロからのスタートだったので色んな壁もあったと思いますが、既存メンバーでOJTをすることで柔軟に吸収してくれていたので、大きな問題はなかったですね。
山田:これは小椋さんにも聞きたいんですが、開発チーム以外からのサービスへの貢献ってどう感じてらっしゃいますか?
小椋:毎日土下座の気持ちですね。
山田:(笑)。
小椋:特に、日々CSの方達には感謝の気持ちでいっぱいです。色んな状況でのエラー検知に関して、CSからのエスカレーション以外の仕組みもあるのですが、ユーザーさんに向けてCSの皆さんは、運用で回避する方法があれば、それを確実にご案内してくれています。ユーザーさんに、まずは最初の問題を解決させてあげて、本質的な問題は別にあるということを確実に案内してくれていて、非常に能力が高いなと感じます。 バックオフィスソフトのサポートなので、それ以外のCSよりも知識を習得する難しさがあると思うんですよ。それ自体を開発する難しさもありますが、そういうご案内をしながら開発の負荷を減らしてくれたり、ユーザーの課題を解決してくれているっていうのは…感謝感激雨あられです。
山田:あられ(笑)。今日のパネルのテーマにもなっていますが、全方位からサービス開発になっているなぁと感じますね。
目の前に積み上がっていることが達成されたら
山田:逆に、 改善点やもう少しこうしたいってことありますか?
小椋:…もう少し待ってほしいってことしか言えないんです。僕らは僕らで今やらなくちゃいけないことがたくさんあって、競争が厳しい業界でもあるので、僕らが想像しえない所でのリスクも色々あると思っています。目の前に積み上がっていることとか、それが解決されたらどんな世界になるかとか、今のメンバーでどう最強にできるかとか、日々がんがん話していて、どう突き詰めようってことは常に考えて実行しているので、もう少しだけ待ってほしい…!ということが、伝えたいメッセージです。
伊藤:「待ってください」と言われると何も反論はできないのですが、「なぜですか」というのは事業推進メンバーは深堀りしてしまいます(笑)。ただ、それを伝えると、コードが全くわからない私達に対して噛み砕いて説明してくれたり、スケジュールや詳細な理由を丁寧に伝えてもらえるので、そこできちんと開発側の状況を理解することができます。今は、新機能開発にリソース割けるかとか、そのリソース配分に関する議論をすることもありますし、何故そうなのかという理由付けも、やっていますね。実は、以前は「もっとこうしてほしかった」ということがありましたが、それがあった故に開発要望PJなどが立ち上がったりしましたし、会社の規模が大きくなっても、議論できる最適な体制は維持していきたいです。
山田:ちゃんと議論できているのが良いのかなっていうのはありますね。
高橋:常に言いたいことは伝えているので、大きなフラストレーションはないですね。何かが起こったとしても、サービスづくりに対する想いの強さ故だと理解していますし、そのたびに伝えることが大切だと思っています。
最後に
懇親会では、今回も多くの方にご参加いただきました。ここからは発表者以外の当社メンバーも参加させていただきました。各々の視点でのサービス開発について様々な意見交換が交わされ、夜は更けていきました。
今回ご来場いただいた皆さんも、残念ながらお越しいただけなかった皆さんもありがとうございました。
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