Money Forward Developers Blog

株式会社マネーフォワード公式開発者向けブログです。技術や開発手法、イベント登壇などを発信します。サービスに関するご質問は、各サービス窓口までご連絡ください。

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アーキテクチャConference 2025に参加しました!

はじめに

こんにちは、Onoeです。普段はプラットフォームエンジニアとしてマネーフォワードグループ全体のプロダクトを支える基盤の開発運用をしています。 今回はアーキテクチャConference 2025に2日間現地参加した話をお伝えします!写真を撮り損ねたので文字ばかりになりますがご容赦ください😅

architecture-con.findy-tools.io

イベントの様子

アーキテクチャConferenceは、ソフトウェア開発における様々なアーキテクチャに関する知見を共有するためのカンファレンスです。 セッションはもちろん、スポンサーブースや展示ブースなど色々な企画がありました。

アーキテクチャConferenceならではの企画として、各社プロダクトや基盤のアーキテクチャを展示しているコーナーがありました。プロダクトのアーキテクチャだけでなく、データ基盤やマイクロフロントエンドなど色々なレイヤーのアーキテクチャを眺められました。偶然そこにいた設計者の方に直接お話を聞けたりもしました。

参加者やブーススタッフなど色々な方と話す機会があったのですが、最近入社した新卒の方が比較的多く参加しているように感じました。自分自身よく他カンファレンスに参加したりスタッフをしていたりするのですが、同年代が少ないことが多いです。今回は同年代の知り合いが増えてとても満足です。

また色々な方からマネーフォワードの共通データベース脱却(いわゆる桃園脱却プロジェクト)について聞かれて議論しました。 関連するインタビューが最近公開されたからなのかと思っていますが、参加している方のアーキテクチャに関する感度が高く流石だなぁと感じます。

xtech.nikkei.com

個人的に面白かったセッション

聞いた中で面白かったセッションをいくつか紹介します。自分なりの解釈と感想なので、正確には以下の公開されているスライドなどをご参照ください。

conference.findy-code.io

モダナイズの現実と選択:マイクロサービスが最適解か?

オライリーから出版されている『マイクロサービスアーキテクチャ』の著者であるSam Newmanさんによる最初の基調講演です。

モジュラリティの重要性・モノリスとマイクロサービスの使い分けや移行に関する話などから、マイクロサービスアーキテクチャに限らないアーキテクチャ選択の核となる考え方を学べました。

【AWS特別企画】実践的アーキテクチャレビュー会 〜KDDIアジャイル開発センター・gumi・ソラコム 〜

各社のエンジニアがそれぞれのアーキテクチャの紹介をし、それについてAWSソリューションアーキテクチャの方がWell-Architected(特にレジリエンス)・組織とアーキテクチャ・開発範囲の意思決定という三つのテーマからレビューするセッションです。

特にソラコムさんのアーキテクチャでは、IoTデバイスと通信キャリアを通じた専用線での通信や認証認可に関する解説が聞け、今まで聞いたことのない領域だったのでとても勉強になりました。

三菱UFJ銀行のアーキテクチャ戦略(エンタープライズアーキテクチャ~全行戦略~その後)

三菱UFJ銀行でのアーキテクチャに関する全体的な戦略策定とその組織的な進め方に関する話です。

システムだけでなく経営やビジネスと密接に関わってアーキテクチャ戦略を決めていくことが重要であり、またエンタープライズ規模の組織でどうやってプロジェクトを推進していくかについて知ることができました。

自分自身も全社共通基盤の開発運用をする身として、技術だけでなく組織の中でどう立ち回っていくかの戦略がとても重要だと考えており、今回のものすごく大きな規模での進め方の話を今後参考にしていきたいです。

AI Native開発への挑戦 〜既存プロセスをどうAI化し、成果につなげたか〜

プロダクト開発をどうAIで置き換えていくか、色々な観点でのナレッジに関するセッションです。

最初のアーキテクチャの意思決定段階では、AIと議論はするがコードを書かせることはしない・より慎重に意思決定を人間が行う、というやり方はとても納得です。どこをAIがやってどこを人間がやるかについての具体的な戦略が学びになりました。

また、AIによる開発速度の向上によるバグや技術的負債の発生速度上昇への対処も興味深かったです。特に、AIが書くソースコードレベルより深い決定的なレイヤーで担保するために、マルチテナントサービスにおけるセキュリティ担保としてPostgreSQL Row-Level Securityを使う話は最近よく聞きます。さらに調べてみようと思います。

制度的トラストを支えるアーキテクチャ - デジタル時代の公共性とその実務

産官学全ての立場から異なるスケールのシステム系を設計した経験をもとに、アーキテクチャとは何か・どのようにシステム系を設計しどのように機能させるかについて抽象的に議論するセッションです。

技術的なシステム・行政や法律・会社などあらゆるシステム系について互いの概念を比較しながら、共通で介在するものが何なのかを見出します。 例えばIETF(Internet Engineering Task Force)でのルールとして有名なRough ConsensusとRunning Codeをデジタル庁の組織や法律に当てはめて考える話などはとても興味深い話でした。

技術や組織だけではなく、普遍的なシステム系とアーキテクチャについて論じる他とは一風変わったセッションでしたが、一番満足度の高いセッションでした。

サービスカタログに基づくTerraform/K8sコードの自動生成

共通基盤における複数の課題を解決するために、内製ツールとDatadogによるサービスカタログの導入を進めた話です。

標準の策定だけでなく移行まで考慮したツールの開発・導入など具体的にどのように進めたかの話は自分もすぐに参考にできるなと感じました。

そもそも「レジリエンス」とは何か?

最初と同じSam Newmanさんによる最後の基調講演です。 ResilienceとResilience Engineeringとは何か・Resilienceを向上させるための原則についての話でした。

システムを安定稼働させるための手法や考え方としては最近だとSREやDevOpsなど色々なものがありますが、色々な考え方を改めてまとまった形で整理して解説するセッションでした。 どの原則も聞いたらその通りだなとすんなり納得いく話ですが、体系的にまとまった形で理解するのは重要だなと感じました。

おわりに

申し込みに出遅れ、注目セッションや懇親会の事前申し込みができなかったのですが、セッションについては当日行けば入ることができ、また色々な方と議論できとても満足しました。

ソフトウェアエンジニアとして働くにあたって、アーキテクチャ設計はあらゆる場面で重要です。 アーキテクチャには一つの正解がなく、全てをトレードオフで決定する必要があります。 またカンファレンス内で何度も遭遇したコンウェイの法則や逆コンウェイ戦略を考えると、アーキテクチャは技術に閉じず、組織のアーキテクチャにも密接に関わってきます。最近はAIとの関わり方についても考える必要があります。

アーキテクチャConference 2025に参加して、特定の分野に閉じない広い意味でのアーキテクチャについて、様々な状況での意思決定を聞くことができ、とても学びになりました。 今年初参加でしたが、もし来年開催される際には、今回得た学びを糧にさらに成長したうえで必ず参加したいと思います!