この記事はMoney Forward Engineering Advent Calendar 2024 12月18日の投稿です。 12月17日は金子さん(@kyntk_1128)で「チームで向き合う開発者体験の改善:Webフロントエンド版DX Criteriaの実践」でした。
皆さんこんにちは。
沖縄から帰ってきて以来、あの碧い海が恋しくてたまらない、クラウド経費 Guardianグループの@tosite(てっしー)と申します。
今年も残すところあと10日程度と、年々加速していく時の流れを目の当たりにして軽く絶望していますが、一年をふりかえるときがやってまいりました。
今年は激動の一年で、いろんなことがありましたがその中でも個人的に一番大きなトピックはTOEICが700点を越えたことです。これはほぼ丸一年頑張ってきて、やっとの思いで成し遂げたことなので、達成したときの深い感慨は今でも忘れられません。
受験日 | Listening | Reading | 合計 |
---|---|---|---|
2023年11月 | 330 | 150 | 480 |
2024年10月 | 380 | 340 | 720 |
そしてもう一つ印象深い出来事がありました。それは3年に渡り務めてきた、JaSST Kyushuの実行委員長の座から退任するという決断です。
今回はこの出来事について、私が携わってきたJaSST Kyushuを思い返しながらふりかえってみたいと思います。
そもそもJaSSTとは?
"Japan Symposium on Software Testing" の略で、ソフトウェアテストのシンポジウムを指します。
現在、日本各地やオンラインで開催されており、NPO法人ASTER(ソフトウェアテスト技術振興協会)が主体となって運営しております。
JaSSTは開催地区ごとにいろいろな特色があり、ソフトウェアテストに関連した研究・事例発表にとどまらず、ワークショップや講演なども行われています。
その中でもJaSST Kyushuの特色として、「例年開催する県が変わる」というものがあります。
福岡のみならず九州各地にソフトウェアテストの息吹を感じてもらいたい、という意図があり、毎年開催する県を変えています。
今年は沖縄で開催する運びとなりましたが、なんと奇しくも10年前、2014年にも沖縄で開催されていたようです。
ちなみにJaSST'24 Kyushuの当日の参加レポートについては以下をご覧ください。
JaSST'24 Kyushu 公式レポートページ
jasst.jp
JaSST'24 Kyushu参加レポート
moneyforward-dev.jp
「実行委員長」を退任するという決断
私がJaSST Kyushuに初めて参加したのは2017年のことで、翌年の2018年にJaSST Kyushu実行委員に参加してから実に7年間もの長きに渡ってJaSST Kyushuに携わってきました。
余談ですが2018年に私のWebエンジニアとしてのキャリアが始まったので、このときは少しでもエンジニアリング領域への知見を深めようと躍起になっていたように思います。
JaSST Kyushuにおいて、私は以下のような役割を担ってきました。
こうしてふりかえると参加者として参加したのは最初の一年のみで、後はすべて実行委員として関わってきたということが伺えますね。
正直なところ、もう参加者目線からの感想というものは忘れてしまいましたが、自分のキャリアの傍らに常にJaSST Kyushuがあったというのは、なんとも言えない感慨があります。
リンク | 年 | 会場 | 役割 |
---|---|---|---|
JaSST'17 Kyushu | 2017 | 福岡県・北九州市 | 参加者 |
JaSST'18 Kyushu | 2018 | 長崎県・長崎市 | 実行委員 |
JaSST'19 Kyushu | 2019 | 福岡県・福岡市 | 実行委員 |
JaSST'20 Kyushu | 2020 | オンライン | 実行委員 |
JaSST'21 Kyushu | 2021 | オンライン | 実行委員 |
JaSST'22 Kyushu | 2022 | 佐賀県・佐賀市 / オンライン | 実行委員長 |
JaSST'23 Kyushu | 2023 | 福岡県・福岡市 / オンライン | 実行委員長 |
JaSST'24 Kyushu | 2024 | 沖縄県・那覇市 / オンライン | 実行委員長 |
私が実行委員長を退任するという決断をしたのは、端的にまとめると「この3年間で実行委員長としてやりたいことをすべてやれたから」です。
私が実行委員長に立候補した時期は、ちょうど新型コロナウィルスによって様々なイベントの存続が危ぶまれていた時期でした。
そのような中で私は、自分がJaSST Kyushuから受けた恩を返したく、そしてまた自分と同じような立場にある方々にJaSST Kyushuのコンテンツを届けるために実行委員長となることを決意しました。
JaSST Kyushuという火を絶やさないために。
余談ですがまさかのその記念すべき1回目、JaSST'22 Kyushuで私は新型コロナウィルスに敗北を喫し、自宅療養となったわけですが、それはまた別のお話。
自分はもう十二分にその大役を果たしたと感じており(もちろん対外的に見れば至らぬ点は多々あったと思いますが)、また、長いこと実行委員長という座に残り続けるのも新しいJaSST Kyushuの変化を妨げる要因になると思い、次回のJaSST Kyushu以降は後任の方にお任せする運びとなりました。老兵は死なずただ去りゆくのみ。
とは言えJaSST Kyushu 実行委員には残る予定なので、引き続き縁の下から支えていければと考えています。
その節目を迎えるにあたって
思い返せば激動の3年間でしたが、その中でJaSST Kyushuを支えてくれた方々がいました。
それはJaSST Kyushu開催にあたってご登壇いただいた基調講演・招待講演の講師の皆さま、及びご登壇いただいた皆さま、そしてもちろん参加者の皆さまです。
また、ASTER(ソフトウェアテスト技術振興協会)の皆さま、そしてJaSST Kyushu実行委員、その他の地区のJaSST実行委員の皆さまにも感謝の意を表したいと思います。
毎年多くの方にご来場いただき、JaSST Kyushuを盛り上げていただいて、本当にありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。
その中でも特に、私とJaSST Kyushuの関係性について語るにあたり、縁深い方が2名いらっしゃいます。
一人は私にJaSST Kyushuの存在を教えてくれ、エンジニアとしてのいろはを叩き込んでくれた池田 暁さん。
もう一人は私をJaSST Kyushu 実行委員に引きずり込み誘っていただき、ここまで導いてくれた福田 里奈さん。
お二方ともソフトウェアテスト業界の第一線を牽引されている方ですが、今でもイベントなどで気さくに交流していただけるのは本当にありがたい話です。
私が実行委員長になったからにはお二人とも基調講演でお呼びしたいと密かに思っていたので、その密かな野望を達成できたことを非常に嬉しく思います。
underscore42rina.hatenablog.com
特に池田さんとは2017年にNaITE(長崎IT技術者会)というイベントで知り合ってから数えて7年もの長い付き合いになります(時の流れとはかくも早いものなのですね)。
そこから公私ともに仲良くしていただき、なんと一時期同じ会社で一緒に働くというミラクルも経験した、とても数奇な関係性になります。
普段は非常に温厚で気さくな方なのですが、いざ品質保証のお話になるととても真摯に、そしてわかりやすく、ご自身の豊富な経験や体験談を交えつつ、聴講者全員の興味を惹くお話をしていただけます。
今回の「JaSST Kyushu 実行委員長の退任」という節目に際して、そのような経験を池田さんからお話しいただければこれほど嬉しいことはないと思い、東京に足を運んで直談判をすることとなりました。
様々なご葛藤があったことと愚考いたしますが、最終的にはお引き受けいただくことができました。
また、「マインドマップ」というと、なそさん(佐藤博之さん)の存在も欠かせないと思い、お引き受けいただくことになりました。
なそさんともどこかのJaSSTでお会いして以来、たまにイベントなどでお話しさせていただいているのですが、こういう出会いがあるのもコミュニティのいいところですね。
結果的に座学とワークショップをそれぞれご担当いただくことで、知識だけでなく経験として参加者の皆さんには吸収いただけたのではないかと思っております。
余談ですが池田さんとはしっかり沖縄を満喫しまして、某かりゆしウェア販売店で色違いのおそろいのかりゆしウェアを購入したのでした。笑
今年も!数字で見るJaSST'24 Kyushu
項目 | 数字 |
---|---|
初回開催 | 2007年 |
前回沖縄開催 | 2014年 |
開催回数 | 17回 |
参加者 | 107名 |
参加比率 | オンライン 43.9% / 現地 56.1% |
前年度よりもさらに多くの方にご参加いただき、会場の熱気が本当にすごかったです。
沖縄という遠方の地での開催となりましたが、なんと現地参加の方がオンライン参加の方を上回りました。
特に100名を超える会というのはJaSST Kyushuの中ではかなり異例だと思っており、感慨もひとしおでした。
余談ですが事後アンケートで、「沖縄で開催してくれて嬉しかった」というお便りもいくつか届いており、JaSST Kyushuの「福岡のみならず九州各地にソフトウェアテストの息吹を感じてもらいたい」という意義が果たせたのも大きな成果だと思っています。
コンテンツとしては座学の他にワークショップを取り入れられたことで知識だけでなく経験として学んでいただけたかなと思っております。
反面、オンライン向けのワークショップの運営が非常に難しかった、という反省点もあります。
こちらは次回以降もしやるのであれば、もっと綿密に準備したうえで実施したいと考えています。
せっかくなので登壇もね
せっかくなので私も今までの歩みを皆さんに紹介したい、特に池田さんに「ここまでやってこれたのはあなたのおかげです」という思いを伝えたく、実行委員長セッションとして登壇をすることを決めました。
当日の資料
参加レポート moneyforward-dev.jp
直近で行っている、CRE(Customer Reliability Engineering)としての活動をふりかえった登壇になりました。
CREと言えば保守運用、お客様の問い合わせ対応が第一という印象を受けがちですが、私は問題の本質はそこではないと思っています。
いかに問い合わせが起きにくい土壌を作るか、問い合わせが起きた際に誰でも対応できるかというところにCREとして得られた知見を総動員して腐心することこそ、本領が発揮できる部分なのではないでしょうか。
私達はこれを「攻めの運用」と定義し、文字通りプロダクトを前に進めるために運用改善や改善速度を改善するための取り組みを行っています。
そしてその活動をより効果的なものにしていくためには、QA領域の知識を融合することがアプローチの一つだと思っています。
「問い合わせのシフトレフト」を行っていくことで、より信頼性の高いサービスを、より本質的なプロダクトの価値を、より強力な組織を作り上げていくことができると私は信じています。
今後やっていきたいこと
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、現在マネーフォワードではグローバル化が進んでいます。
これはCREとしても能動的に関与していくべき課題ですが、一点とても難しい点があります。
それは、「お客様はグローバル化をしていない」ということです。
当然ですが私が所属するGuardianグループだけをグローバル化したとして、お客さまからの問い合わせそのものが英語化されるわけではありません。
かといって機械翻訳を行っただけではドメイン知識に深く紐づく部分や細やかな表現が欠損する可能性があり、適切に内容を理解できない危険性をはらんでいます。
これに関しての打ち手は色々あると思いますが、まず私は社内のクローズドな環境で利用されているChatGPTを使って自動化することを考えています。
あらかじめプロンプトにドメイン知識に紐づく情報を与えたり、社内の翻訳辞書を与えたりすることで、より齟齬のない自然な英語化が行えると思います。
生成された英文を、もう一度AIを通すことでセルフレビューすることもできるようになるでしょう。
さらに、それらをサマライズすることでもっと早く問い合わせの概要をつかみ、素早く問い合わせに移ることができるかもしれません。
こういった単なる英語化ではなく、問い合わせフローや業務フローの英語化、果ては「強いチームを実現するための戦略的かつ持続可能な」英語化をやっていきたいと考えています。
言葉の壁を超えるというのは想像以上に遥かに難しいことですが、慎重かつ大胆に、そして「前向きに」取り組んでいければと考えております。
おわりに
ということでCRE領域で攻めの運用をやってみたい方、グローバルな組織で活躍したい方、少しでも興味を持った方向けに!
マネーフォワード 福岡開発拠点では一緒にこれらの課題を解決してくれる仲間を募集しています!
まずはカジュアル面談から、ぜひエントリーをお待ちしております!
福岡開発拠点のサイトもあるのでぜひご覧ください。
それでは、明日の記事は「Kato Yuna / cheese」さんです。お楽しみに!