この記事は、Money Forward Engineering 1 Advent Calendar 2022 2日目の投稿です。
こんにちは。マネーフォワード MEのiOSエンジニア、ひらた(@cafedeichi)です。
今回は私の英語学習について少しお話します。
私がiOSエンジニアとしてのキャリアをスタートしたのはiOS 6がリリースされた頃でした。当時はAppleの公式ドキュメントの和訳が少なく、必然的に英文を読む機会が増えたことで、少しずつ英語そのものにも興味を持つようなりました。知りたいことが英語で書いてあるので、英語ももっとわかるようになりたいと思ったのです。その後、本格的に学習を始めた2016年の夏から今日まで、iOSアプリ開発を通してどのように英語学習に取り組み、英語力を高めていったのかを、英語の4技能であるリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングに分けて振り返ってみたいと思います。
リーディング
まず、リーディングの学習には、Apple Developerの公式ドキュメントが役立ちました。もともと読書が苦手で文章を読むのも遅いのですが、興味のある分野の文書は積極的に読むことができました。 現在は翻訳されているドキュメントも増えていますが、公開までに少し遅れがあります。最新情報をタイムリーに確認するには、News and Updatesをはじめ、英語で読んだほうが圧倒的に早いです。 英文を読んでわからなかった単語や熟語は、iKnow!という単語学習アプリに例文と合わせて登録し、覚えるようにしています。単語を登録する際は発音もできるだけ確認することで、「(単語を)読めて意味がわかるのに、聞き取れない」という状態にならないように気を付けています。
特にこれをやってよかったと思ったのはApp Store Review GuidelinesとHuman Interface Guidelinesです。断片的ではあるのものの、例文として登録した条文を繰り返し読み、記憶として定着させた結果、業務においてアプリの新機能や施策を検討する際などに、それに則った意見や指摘がスムーズにできるようになりました。また、ガイドラインの更新に合わせてiKnow!で登録した学習コースもときどき見直しています。
Apple Newsroomも定期的に読んでいます。Apple Newsroomは開発以外の話がほとんどで、Appleの環境問題への取り組みや教育活動、退役軍人の支援の話など、なじみのない話も多く、リーディングの教材としてはApple Developerのドキュメントよりも難易度がやや高い印象です。ネイティブ話者のインタビューなども掲載されることがあり、ネイティブの口語表現を学ぶ機会にもなっています。新製品のニュースは、毎年恒例のよくある話なので比較的読みやすく、Apple Eventsでの発表を事前に視聴していれば、さらに理解が深まります。新機能については、複数の記事で繰り返し述べられることが多く(例えば、今年なら交通事故検知機能については、OS、デバイスいずれの紹介においても触れられています)、読むほどに文脈の理解が容易になります。もちろんここでも、知らない単語は確認して覚えるように心がけています。
そのほか、MediumなどApple以外の英語記事の多読・精読、iKnow!が提供する学習コースを活用した結果、WPM(words per minute)が150WPM以上になり、TOEICで全問解き終えるぐらいの速度で英語が読めるようになりました。リーディングを学習することで、現在までに8000以上の英単語や熟語を覚えることができました。英会話で初めて耳にする単語も減ったことで、リスニングやスピーキングの向上にもつながっていると感じます。
リスニング
リスニング力は、Apple EventsやWWDCのKeynoteをはじめとする各セッションを視聴することで鍛えられました。
イベントの発表者はとても丁寧に話していて、発音における音の変化や脱落も少なそうなので、映画や海外ドラマと比較するとかなり聞き取りやすいです。iOSエンジニアで初級~中級の英語学習者なら、リスニング教材に適していると思います。字幕や文字起こしもあるので、聞き取れなかった箇所の確認も簡単にできます。 ひとつのセッションを技術情報の収集のために字幕付き・等速で聞いて、その後、字幕なしで繰り返したり1.25~1.5倍速で聞くことで、インプット学習としての効果が上がるよう工夫しています。 余談になりますが、Steve Jobsのスタンフォード大学でのスピーチも繰り返し聞きました。このスピーチは先に紹介した単語学習アプリiKnow!でも「偉人たちの名スピーチ」という学習コースのひとつとして提供されています(もちろんこのコースも修了しました)。
スピーキング
普段の生活や仕事で英語を話す機会がない私にとって、WWDCはスピーキングの実践の場でもあります。WWDCの会期中にはLabsというものがあり、Apple社のエキスパートと1on1で話せる貴重な場所です。
英語学習をはじめた理由のひとつに「いつかは現地(カルフォルニア)でWWDCに参加したい」という目標があったので、2019年にWWDCに行けると決まった時は「Labsで必ず話をしてこよう」と決心しました。当日は、当時の同僚や取引先の顧客からの問いをApp Review、App Store Connectのエキスパートに英語で伝えました。SwiftUIに関してはエンジニアへ、個人で開発していたアプリのUI/UXについてはデザイナーにレビューをお願いするといったこともLabで実践できました。 限られた時間の中でつたない英語ではありましたが、目的を果たすことができ、とてもうれしい気持ちになったのを覚えています。 オンライン開催となった2020年以降もLabsを活用しています。Webexによる通話がメインでチャットも利用できたので、対面の1on1よりも心理的な負担は低かったです。
もちろん最初から話せたわけではなく、2016年から始めていたオンライン英会話で事前に準備をしました。オンライン英会話はさまざまなサービスがあり、ECC、DMM、NativeCamp、RareJob、EnglishCentralなど、いろいろ試しましたが、現在はCamblyというサービスに落ち着いています。Camblyは講師全員がネイティブという特徴があり、さまざまなアクセントをもったネイティブ話者と会話をしてみたいという動機から始めたのですが、今一番おもしろいのが講師の多様性です。講師の本業がエンジニア、デザイナー、弁護士など多岐にわたります。元エンジニアで本業が弁護士という講師にも出会い、その経歴に驚かされました。講師は世界中に住んでいるので、海外の知らない土地や文化、暮らしぶりなどを聞けるのもとても楽しいです。
ライティング
ライティングの学習では、Mediumというサイトで技術ブログを何本か投稿しました。
最近はあまり書けていないのですが、知人のiOSエンジニアのブログの翻訳記事を書いたこともあります。記事を翻訳すると、日本語で書かれた文章を精読して技術的知見を得られるだけでなく、リーディングの学習で習得した語彙を実際に使う場面も出てきました。また、記事を投稿する前にCamblyの講師などにレビューしてもらうこともあります。文法上の誤りだけでなく、より自然な表現や英語の句読点の使い方など、講師に細かく指摘してもらえます。英会話のために始めたCamblyですが、レッスン内容を自分で組み立てることができるので、ライティングの勉強にも役立っています。
そして、数少ない実践の場の一つとして、App Reviewでのメッセージのやり取りがあります。アプリの審査を申請する際、申請が通らず却下されることがあるのですが、そのようなときはReviewerとのやり取りが増えます。
例えば、緊急度の高い不具合の修正については却下の根拠となる指摘について見送ってもらったり、Reviewerの勘違いやアプリの仕様を理解されていない指摘に対して異議の申し立てなどを行います。 具体的な内容は割愛しますが、過去のやりとりはすべて社内で一元管理しており、長く続いている一つのサービスの参考資料のひとつであることはもちろん、自分の英文ライティングの変遷を知ることもできる興味深いものです。
アプリを申請して却下されることはあまり気持ちのいいものではありませんが、英語でのやり取りが増えることは私にとって学習のチャンスでもあります。
学習の効果
これまで紹介したように自分なりに4技能の英語学習を継続した結果、iOSエンジニアになる前は500~600点台だったTOEICのスコアは、最高で945点を取ることができました。最近受験したPROGOSというAIによるオンラインスピーキングテストでは、B2(CEFR B2相当)の判定でした。
ちなみに、Test your English vocabularyというサイトで語彙力を測定したところ、iKnow!でマスターしたと判定された語彙数に似た結果になりました。
おわりに
一般に成人のネイティブ話者の語彙数は2~3万と言われるのですが、私が学習した数はまだその半分もありません。この先も学習を続けて2万語に近づいた時、自分の英語力はどうなっているのかを確かめたくて、現在も語彙を増やし続けています。単語を覚えるうえで、実際にその単語を会話で使うのかどうか、覚えて意味があるのかは特に気にしていません。いつどんな話を英語でするのかわからないので、覚えておくに越したことはないと思っています。 また、今でもネイティブどうしの会話をすべて聞き取ることは難しく、会話に入っていくのも大変です。なじみのない話題になると言葉に詰まってしまうこともあり、改善すべき点も多いのですが、どこまで向上できるかという興味もあり、飽きずに学習を続けられています。 海外在住経験も英語での業務経験もない私でも、地道に英語学習を継続すれば、中級~中上級程度の英語力が身に付くことがわかりました。 私の場合、英語学習が捗った一番の理由は、興味のある分野を教材にできたことが大きいと感じています。何か興味のあることを見つけたら、それを英語学習に取り入れる方法を考え、自分なりに工夫してモチベーションを維持しています。
英語学習をスタートした方、これから始めようとしている方に、私の経験が何らかの参考になればうれしいです。
マネーフォワードでは、エンジニアを募集しています。 ご応募お待ちしています。
【会社情報】 ■Wantedly ■株式会社マネーフォワード ■福岡開発拠点 ■関西開発拠点(大阪/京都)
【SNS】 ■マネーフォワード公式note ■Twitter - 【公式】マネーフォワード ■Twitter - Money Forward Developers ■connpass - マネーフォワード ■YouTube - Money Forward Developers