こんにちは、皆さんエッジで機械学習してますか?僕はしています。 CTO室AI推進部の幸野です。 CTO室AI推進部については、以前noteを書いたのでこちらを御覧ください。 AI推進部って何だ? 初めての技術ブログ投稿となる今回は、iPhone, iPadで機械学習(ML)を実行すべく非公開なCocoaPodsライブラリを作成した話です。
背景
MLモデルをサービスに導入する際、スマートフォンで実行できると、サーバとの通信が発生しないためパフォーマンスに大きく利があります。また、ユーザのセキュリティも担保できます。 一方、アプリにML機能を追加する場合、MLに馴染みのないアプリエンジニアに実装をお願いすることは学習コストの観点から厳しいことも多いですし、MLエンジニアがアプリのソースコードに手を入れると密結合となり、保守性が下がってしまいます。 そこで、Swift向けの依存管理ツールであるCocoaPodsでML機能を提供し、アプリと疎結合な関係にすることで開発しやすい環境を実現しました。
モチベーション
「iOSアプリ開発もSwiftも何も分からん」状態で、社内向けの非公開CocoaPodsを作成するにあたり、情報が散らばっており少し苦労したため、非公開CocoaPodsの作り方をここに纏めます。
用意するもの
- Xcode(13.0)
- GitHubレポジトリ
- プロジェクト用とCocoaPods用1つずつ
- CocoaPods
- Pod化したいプロジェクト
作り方
公開/非公開であれ、途中までは作り方は同じです。まずは、公開/非公開で分岐するところまで進め、その後非公開対応に進みます。
XcodeでFrameworkプロジェクトを作成する
実装
実現したい処理を実装します。
sayHello()
で'Hello from Money Forward Engineers' Blog!'
を返すだけのサンプルプロジェクトを用意したので、こちらを使います。
プロジェクト用のリモートレポジトリへpush
今回はブログ用に公開レポジトリを使用していますが、社内向けであれば非公開レポジトリを使用します。
ライセンスファイル追加
GitHub公式手順に従い、GitHub上でライセンスファイルを追加します。
GitHub上で作成した後は、ローカルでgit pull
コマンドを実行してローカルへも反映させます。
この手続きは、CocoaPodsへ登録する際にライセンスファイルが必要なため行っています。
非公開では無視することもできますが、CocoaPodsでは公開するライブラリが多いため、定められた形式に従います。
podspecファイルの作成
プロジェクトのルートディレクトリでpod spec create <ライブラリ名>
を実行し、<ライブラリ名>.podspec
を作成します。
今回の例では、pod spec create Greeting
を実行した結果、Greeting.podspec
が作成されます。
テンプレートを修正し、pod lib lint --allow-warnings
で文法確認を行い、エラーがあれば修正します。
今回はコメントアウトしていますが、依存関係があればspec.dependency
に記載します。
Pod::Spec.new do |spec| spec.name = "Greeting" spec.version = "0.0.1" spec.summary = "This is a CocoaPods sample project for MoneyForward tech blog." spec.description = <<-DESC Greeting class returns "Hello" when sayHello func is called. Sample usage: let greeting = Greeting() print(greeting.sayHello()) // "Hello" DESC spec.homepage = "https://github.com/KonoTatsuya/greeting-swift/tree/main" spec.license = "Apache License, Version 2.0" spec.author = { "KonoTatsuya" => "kono.tatsuya@moneyforward.co.jp" } spec.platform = :ios, "14.0" spec.ios.deployment_target = "14.0" spec.source = { :git => "git@github.com:KonoTatsuya/greeting-swift.git", :tag => "#{spec.version}" } spec.source_files = "Greeting/Greeting/*.{h,swift}" # spec.dependency "DependingLibrary" end
podspecの作成が完了したらリモートレポジトリへpushします。
タグ付け
前項目で使用したタグ(0.0.1)を最新コミットに適応します。
git tag 0.0.1 git push origin 0.0.1
ひと休み
プロジェクトにおける作業はここで終了です。お疲れ様でした。これからは、非公開CocoaPodsライブラリを作成していきます。
CocoaPods管理用非公開リモートレポジトリ作成
CocoaPodsでライブラリを使用するためには、プロジェクトのレポジトリに加えて、CocoaPods管理用のリモートレポジトリ(本記事ではsampleSpecRepoと呼びます)も必要です。
公開ライブラリであれば、CocoaPods/Specsで管理していますが、今回は非公開で管理したいので、非公開のレポジトリを作成します。インターネットには非公開とするが、社内では公開する場合、所属するOrganizationに対しては公開設定としてください。
レポジトリ作成後のコマンドは下記を実行します。
デフォルトブランチをmain
とするのが現在の主流ですが、CocoaPodsではmaster
を使うことに注意してください。
echo "# sampleSpecRepo" >> README.md git init git add README.md git commit -m "first commit" git remote add origin git@github.com:<GitHubUserName>/<RepoName>.git git push -u origin master
本記事のためにサンプルのレポジトリを作成したので、ご参考ください。https://github.com/KonoTatsuya/sampleSpecRepo
podspecファイルをsampleSpecRepoに追加する
ローカルのCocoaPodsにsampleSpecRepoも管理対象であることを認識させた後、先程作ったpodspecファイルをsampleSpecRepoへ追加します。
ローカルのCocoaPodsにsampleSpecRepoも管理対象であることを認識させる
pod repo add myPrivatePods(任意の名前) git@github.com:<GitHubUserName>/<RepoName>.git
このコマンドを実行することで、ローカルの~/.cocoapods/repos
にmyPrivatePods
というディレクトリが作成されます。
本記事の例では、pod repo add myPrivatePods git@github.com:KonoTatsuya/sampleSpecRepo.git
となります。
なお、公開されているPodの情報は~/.cocoapods/repos/trunk
で管理されています。
podspecファイルをsampleSpecRepoに追加する
Greeting.podspecが含まれるディレクトリで、pod repo push myPrivatePods Greeting.podspec --allow-warnings
を実行します。
このコマンドはpodspecファイルを解析し、指定したローカルのCocoapodsディレクトリ(今回はmyPrivatePods)にライブラリを追加すると共に、sampleSpecRepoへpodspecファイルをプッシュします。
成功すると、下記ディレクトリ構造でsampleSpecRepoにファイルが追加されます。
sampleSpecRepo ├── Greeting(pod name) └── 0.0.1(version) └── Greeting.podspec
これで非公開CocoaPodの完成です。 後は実際にPodとして使えるかどうか、確認してみます。
Podとして使えるか確認する
Podfileの先頭にsource 'git@github.com:<GitHubUserName>/<RepoName>.git'
の形でsampleSpecRepoのURLを追加し、他は通常のPodfileと同じように記載します。
source 'git@github.com:KonoTatsuya/sampleSpecRepo.git' platform :ios, '14.0' use_frameworks! target 'techBlogSampleApp' do pod 'Greeting' end
pod install
を実行するとインストール成功したことが確認できます。
Analyzing dependencies Downloading dependencies Installing Greeting (0.0.1) Generating Pods project Integrating client project Pod installation complete! There is 1 dependency from the Podfile and 1 total pod installed.
ContentView.swift
import SwiftUI import Greeting struct ContentView: View { var body: some View { let greeting = Greeting() let hello = greeting.sayHello() Text(hello) } } struct ContentView_Previews: PreviewProvider { static var previews: some View { ContentView() } }
無事"Hello from Money Forward Engineers' Blog!"の出力を確認できました。
まとめ
AI推進部では、機械学習モデルの開発に留まらない、多岐に渡る技術に触れることができます。 機械学習をサービスへ導入したい想いをお持ちの方、ぜひ下記求人からご応募ください!
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